2年目の成長を続けている。日本ハム河野竜生投手(23)が、新たな持ち場で存在感を示している。今季、開幕ローテーションの一角を射止めたが、初登板の3月30日西武戦、続く4月8日ソフトバンク戦での2試合に先発後、リリーフに転向。戸惑いながらの船出だったという。

「(昨オフの)自主トレから2月のキャンプと、先発ローテに入るのを目標にやっていたので、最初は本当に悔しかった。ですけどファームで投げるより、1軍で投げるということが一番大事だと思う。任されたところで、まずしっかり結果を出していこうと思いました」

適性の一端をのぞかせたのは、4月16日楽天戦。プロ初のリリーフ登板で、3イニングをパーフェクトに抑えた。試合後の栗山監督を「元々、資質はあるんだろうなと思っていたけど、素晴らしかった。河野には中(リリーフ)に入ってもらう」と、うならせるほど圧巻だった。その後はリリーフで24試合、失点は1試合のみの好救援を続けている(7月2日現在)。

持ち味は気迫を全面に出し、緩急織り交ぜた投球スタイル。19年ドラフト1位でJFE西日本から入団した。即戦力左腕は、チームのウイークポイントを埋めると大きな期待を寄せられた。ルーキーイヤーは開幕ローテーション入りも、12試合に先発し2勝5敗。防御率5・07と苦しんだ。1年目のオフには、ソフトバンク和田のようなキレのある直球を手本に磨いた。

リリーフを経験し、ハートの強さが増した。社会人出身、即戦力として期待に応えようとするあまりに、大胆さを欠くシーンが目立つことがあった。中継ぎを経験し、得たのは「開き直り」の大切さ。「ランナーを背負ってマウンドに上がる時は、言い方は悪いけど、自分のランナーじゃないっていう開き直りもある。逆に抑えたら、チームに流れも来ると、思い切って自分のボールが投げられている」と分析する。

目指すは、パワーアップして先発に戻ること。「また先発をさせてもいいんじゃないかなと思わせるくらい、結果を残したい」と明確な目標が、河野を奮い立たせている。プロ1年目、ライバルに同学年で同じ左腕の堀を挙げていた。真意を聞いたときに「本当のライバルは“自分自身”なんですけどね」と笑っていたことを思い出す。自分に勝って、新たな姿で先発の舞台に立つ日が待ち遠しい。【日本ハム担当 田中彩友美】