熱戦が繰り広げられた東京五輪の裏で、日本ハムは函館でエキシビションマッチを行った。球場の改修工事をへて、函館開催は4年ぶり。4連休真っただ中の8、9日の巨人戦のチケットは完売した。連日、熱中症警戒アラートが発動する真夏の空の下、大盛り上がりを見せた。

エキシビションマッチが行われた函館オーシャンスタジアムの敷地内には、久慈次郎氏の銅像が立っている。栗山英樹監督(60)は毎日、コーヒーを手向け、手を合わせた。休養日には墓を訪れ、久慈さんに尋ねたという。「どうやったら少しでも、久慈さんに近づけますか」。久慈氏の生きざまに、何かを得ようとしていた。

久慈氏は、函館ゆかりの野球人。岩手出身も、函館の社会人チーム「函館大洋組楽部」でプレー。巨人の前身「大日本野球組楽部」からオファーを受けたが、断ったとされている。自らの野球人生よりも、大火災に見舞われ復旧活動が遅れていた“故郷”のために尽力することを決断した。

栗山監督は、あらためて久慈氏の歩みに敬服した。「オレなんか全然ダメだけど、そういう先輩に近づかなきゃってすごく思える。(函館に)来れば」。函館のために生きた姿は、忘れかけていたことを再確認させてくれたという。久慈氏のような自己犠牲の精神の大切さを、選手個人に訴えたこともあった。

栗山監督 結局、最後は「誰かのために」とか、人のために尽くせる人じゃないと。特に今の時代は、分かりにくくなっちゃうんだろうな。自分は出来ないかもしれないけど、そういう意識をみんな(報道陣)も伝える責任があるし、我々も言い続ける責任があると思う。プラス、そこに少しでも近づかないといけない。

監督就任から10年間、どんな時も身を粉にして指揮を執ってきた。久慈氏の魂に触れ、また歩みを進めていく。【日本ハム担当 田中彩友美】

久慈次郎氏の墓を訪れた日本ハム栗山監督(球団提供)
久慈次郎氏の墓を訪れた日本ハム栗山監督(球団提供)