ソフトバンクにとって終盤戦のキーマンは、リチャード内野手(22)だと個人的に思っている。1軍デビュー後8試合に出場して、打率2割2分2厘ながら3本塁打、10打点をマーク。プロ初出場した9月2日から10日間でこの成績は立派だ。

リチャードが昇格する前のチームの平均得点は3・84点で、昇格後は5・78点。初アーチが満塁弾など、持ち味のパンチ力を武器に、起爆剤としての役割は十分に果たしていると言える。

小久保裕紀ヘッドコーチ(49)は以前、リチャードについてこんなことを言っていた。

「給料見てください。あいつ(リチャード)はチームの勝敗は気にせず、自分の城を築くためにするだけ。チームのためにプレーするというのはベテラン、給料が高いやつだけです」

リチャードの今季推定年俸は660万円。現在1軍に同行している野手の中では、谷川原健太捕手(24)の推定630万円の次に安かった。

小久保ヘッドの真意は“チームの命運を背負うのは、ベテラン、主力だけ。お前は気にせずに、自分が飯を食うためにバットを振れ”という意味だろう。当てに行くような小手先の打撃で、小さくまとまってほしくない。三振したとしても、打席で堂々とフルスイングを貫いてほしい。その姿勢が、結果的にチームを活気づけてくれると思う。【ソフトバンク担当 只松憲】

泥だらけになりながら生還しナインと指タッチをかわすリチャード(2021年9月8日撮影)
泥だらけになりながら生還しナインと指タッチをかわすリチャード(2021年9月8日撮影)