ソフトバンク甲斐拓也捕手が契約更改で大幅アップを勝ち取ったという報を聞いて、ひざを打った。侍ジャパンの正捕手だが今季は打率2割2分7厘でチームはBクラス。それでも4500万円アップの評価。捕手に特有の「見えない部分」が査定に反映されていたようだ。

その3日前に記者は、東京で久しぶりに会った中日木下拓哉から「捕手あるある」を聞いていた。最優秀バッテリー賞の授賞式に柳と出席。パ・リーグで受賞したオリックスの山本・若月の話題になった。木下拓はオリックスとヤクルトの日本シリーズをテレビで熱心に見ていたという。

「もう、全部すごい。すごいなあと思いながら見ていた。あとは…若月選手も抑えて当たり前と絶対見られていたので、本当に大変だったと思う。だから彼には重圧を与えないであげてほしい。本当にこれは」と何度も繰り返した。

沢村賞を獲得したオリックス山本はシーズン中盤以降、破竹の15連勝。CSファイナルではファンの間で「1勝1由伸」の言葉が流行した。優勝チームのアドバンテージは1勝だが、オリックスは山本で100%勝てるから「実質2勝のアドバンテージ」がある、という意味だ。実際に山本は初戦で完封した。

捕手にとっては重圧以外の何ものでもない。もし打たれでもしたら捕手に責任の矛先が向く。聞けば木下は試合前、投手の調子の報告を聞くのが苦手で、早めに自らブルペンに出向いて直接受けるという。人づてに「今日の柳はめちゃくちゃいいぞ」と聞けば、それが余計な重圧になる。

「去年は大野(雄大)さんが沢村賞でしたけど、受けている方は『誰が捕手でも抑えられるわ…』と実は思っている。そこは捕手にしか分からない重圧。若月選手も山本投手のときは絶対分かっている。だから若月選手は本当にすごいなと。相当、大変だっただろうなというのが分かる。日本シリーズで普通にプレーしていたので尊敬します」

球界には「抑えれば投手、打たれれば捕手」の考えが根強い。数字では表せない捕手の気苦労にも理解が広まればと願う。【柏原誠】