悲劇ばかりが続く。オリックスに主力組のコロナ感染が相次いでいる。伏見、宗、頓宮、太田、佐野皓、黒木、小木田…。現時点では7選手に加えて、水本ヘッドコーチも隔離療養中。1軍ベンチの顔ぶれもガラッと変わった。

さすがに想定外のレベルまできているが、中嶋監督はシーズン開始前から「いつ何が起こるかわからない」と、有事に備えていた。開幕時の先発投手は7枚をそろえた。

山本、宮城、山崎颯、田嶋、バルガス、山崎福、山岡。一線級の先発スタッフは、中7日以上の登板間隔でシーズンに入り、感覚を慣らす算段だった。ところが、黒木、小木田の期待されたリリーバーが急きょ離脱。そこで指揮官は、先発調整させていたバルガスの救援待機を決めた。

先発スタッフが1枚減ることで登板間隔は中6日になった。9日ロッテ戦(ZOZOマリン)の宮城と佐々木朗のマッチアップも、その理由で生まれていた。

捕手では伏見、頓宮の2選手が離脱中。9日はドラフト3位の福永がプロ初マスクをかぶった。状況次第では、今後も先発で起用される試合が増える。宮崎春季キャンプでA組スタートだったルーキーが存在感を示すときがきた。

内野手では、新助っ人のバレラが全ポジションを守れる。9日に1軍昇格した中川圭は本職の一塁に加えて外野、さらにはファームで二塁の守備にもついてきた。外野手に転向した福田は、当初の中堅だけでなく左翼にも挑戦中。各選手が複数ポジション守れることで、オーダーの幅も広がっている。

昨季143試合中130通りのスタメンを組んだ指揮官は「誰もが戦力」と開幕からここまで15試合で15通りのオーダー。スタメン表を見るこちらを、毎日ワクワクさせる。

ただ…。連日のスクリーニング検査で、選手のメンタル面も心配される。実際、このコラムで執筆させてもらおうと思っていた選手も現在、隔離療養中。誰もが気を使う日々に、生きづらさを感じてしまう。

昨季のチームスローガンは「全員で勝つ」で悲願のリーグV。今季は「全員でW(笑)おう」。窮地を乗り越えた先に、歓喜は来る。【オリックス担当 真柴健】