ソフトバンク和田の快投に、あの言葉を思い出した。楽天カバーで同行したリーグ再開後、最初のカードとなるソフトバンク-楽天3連戦(ペイペイドーム)。3戦目の19日に先発した和田毅投手が、6回途中まで楽天打線を16者連続凡打に打ち取るパーフェクト投球を披露した。140キロ台中盤の直球と変化球がさえ渡った。17人目の楽天茂木にソロ本塁打を打たれ、6回1失点でマウンドを降りたが、8奪三振含む内容で日米通算150勝目を挙げた。

そんな和田の直球に、西武中村剛也内野手がこんなことを言っていた。「和田さんの真っすぐ、めちゃくちゃ速いっすよ。球速以上にめちゃくちゃ速く感じる。ホンマ差し込まれますから。リーグでもトップの速さを感じる」。希代のホームランバッターにも、そう感じさせるほどの球なのだ。

その隣で「うんうん」とうなずくのは、後輩の渡部健人内野手だった。渡部は1年目の昨季、プロ1号を打ったのは和田からだった。「真っすぐがめちゃくちゃ速くて、これは打てないと思ったらカーブがきて、バットに当たりました」という。150キロ台が当たり前のように計測され、160キロもたびたびお目にかかる時代だからこそ、2人の証言から、41歳和田の持つ投球術のすごみが際立って聞こえる。

そんな中村は右手親指を痛めたが、1軍復帰間近だという。一方の渡部は、2年目も2軍での出場が続いている。今季はまだ、1度も1軍から声がかかっていない状況。今は、和田の真っすぐを芯でとらえられるような打力を磨いて、はい上がってくる姿を見てみたい。【遊軍=栗田成芳】

居残り特打する渡部(右)に打撃指導する中村(2022年2月9日撮影)
居残り特打する渡部(右)に打撃指導する中村(2022年2月9日撮影)