<オリックス6-5ソフトバンク>◇19日◇京セラドーム大阪

敵地・京セラドーム大阪のカード最終戦。試合後、ソフトバンクナインは足取り重く左翼グラウンドに向かって、鷹ファンにあいさつした。

4点差をひっくり返しながら延長10回サヨナラ負け。笑顔でシーズンの応援お礼はできなかった。そのまま三塁側ベンチに引き揚げようとする列に向かって中村晃が右翼側へのあいさつを促していた。6回に代打で4点差を追いつく同点打を放っていた。誰より敗戦の悔しさをかみしめていただろうが、昨年までの選手会長。冷静にオリックス応援団へのリスペクトも忘れないあたりは、さすがだと感じた。痛い1敗ではあるが、なぜか中村晃のこの姿に今後の戦いの不安を感じることはなかった。

緊迫のV争い。「冷静」で、いかに「平常心」を保てるか。激戦となったペナント制覇のキーワードは、この2つの言葉にあるような気がする。さらに加えるならば「ポジティブ志向」か。3連敗の悔しさを残り10試合の肥やしにすればいい。ゲーム差なしでオリックスに並ばれたとは言え、首位の現状は変わりない。

台風14号の影響で大荒れとなったシルバーウイーク最初の3連休。19日は「敬老の日」であり、ダイエー時代の初代オーナーだった中内功氏(享年83歳)の命日でもあった。8月2日が誕生日の中内さんは、生きていれば今年でちょうど100歳。オーナー時代は名前にちなんだ背番号「130(いさお)」で「130歳までオーナーでいたい」と精力的だった。球団買収から低迷が続いた。世界の王を監督に迎えて「V指令」を飛ばしたが、なかなか念願かなわなかった。球団幹部に「勝てるシステムを作れ! 」とゲキを飛ばしたこともあった。疑問に感じたことは手書きのメモを何枚も球団に送りつけた。それでもチームに言い続けたのは座右の銘の「ネアカ のびのび へこたれず」だった。

ホークスは試練の11連戦を6勝4敗。今日20日は札幌で新庄ハムとの最終戦。中内さんの言葉ではないが、何も慌てることはない。のびのびやればいいのだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

オリックス対ソフトバンク 6回表満塁で適時打を放ち両手を挙げる中村晃(撮影・清水貴仁)
オリックス対ソフトバンク 6回表満塁で適時打を放ち両手を挙げる中村晃(撮影・清水貴仁)