それにしてもプロ野球は夢がある。

東芝・吉村貢司郎投手(24)が、2度の指名漏れを経てドラフト1位でヤクルトから指名を受けた。国学院大時代に続き、社会人2年目の昨年ドラフトで指名されなかった。そこからわずか1年後に“ドラ1”になるのだから、運命というのは分からない。指名直後から鳴りやまぬスマホに、一晩では返しきれなかったという。

ドラフト翌日に指名あいさつを受けた吉村は「指名漏れしましたけど、自分に足りないものが何か、1年間明確にしてやってきたつもりなので、取り組んできた結果がこれでよかった」。左足を大きく外に振る「振り子投法」を自分のものにして、2度の屈辱を乗り越えたぐり寄せた。1年と簡単にいうが、その裏にある地道な努力が、報われた。

プロ野球では、一夜にしてヒーローになることがある。ただ一朝一夕でなれるはずもない。日本シリーズでは、そのヤクルトの前に立ちはだかったオリックス宇田川の投球に、鳥肌が立った。つい7月まで育成選手だったというから、すごみが際立つ。不世出の選手はきっとまだまだいるんだと、思い知らされた。

いくつものシンデレラストーリーが描かれた今年のプロ野球も終わった。ニューヒーロー候補は、すでに来季に向けてこの秋、再スタートを切っている。地道な努力が、また1年後に実を結ぶ。【遊軍 栗田成芳】

10月20日、ヤクルトから1位指名を受け笑顔を見せる東芝・吉村
10月20日、ヤクルトから1位指名を受け笑顔を見せる東芝・吉村
東芝・吉村貢司郎の“振り子投法”(撮影・野上伸悟)
東芝・吉村貢司郎の“振り子投法”(撮影・野上伸悟)