<ソフトバンク6-0楽天>◇2日◇ペイペイドーム
悔しさはこの1年間、ずっと胸の中でくすぶらせている。3年連続V逸という現実を直視しつつ、CS突破からの頂点へ向け、ソフトバンク中村晃は視線をしっかりと据えている。「短期決戦と同じ気持ちで。勝つのみです」。ヒーローのお立ち台でそう言った。
初回に1点を先制した直後。なおも2死三塁から中前へ2点目となる適時打をはじき返した。6回には先頭近藤が四球で歩くと初球を送りバント。貴重な追加点をアシストした。さらに7回には2死一塁から左腕藤井の直球を中前へ運んで一、三塁。ダメ押しの2点についないだ。
先月中旬の北海道遠征で体調不良を訴え戦線離脱。個人目標だった今季の全試合出場が途切れた。「完全な自己管理不足です」。23日のオリックス戦(ペイペイドーム)からチーム復帰したが、バットから快音は響かなかった。9月30日の日本ハム戦(ペイペイドーム)の9回サヨナラ弾が復帰20打席目での初ヒット。寡黙な男には珍しく験を担いで? もいた。会心弾の日に着ていた紺のジャケットを次戦も着用して球場入りしたが4打席無安打。「ホームランを打ったんで、いいことがあるかなと思ったけど、もうやめます」。この日の楽天初戦はTシャツ姿で球場入り。気分一新した。頼るべきは自分自身の闘争心と技術…。悔しさと責任感が生んだマルチ安打だった。
チームが急降下した7月の12連敗。敵地・千葉で11連敗目を喫したロッテ戦(ZOZOマリン)後、選手だけの決起集会を呼びかけた。シーズン中は極力、飲酒を控えて臨んだ今シーズンだったが、不調にうつむきがちだった周東、三森を食事に誘って気分転換も図った。頼れる兄貴分として残り3試合、グイグイとチームをけん引してもらいたい。若手は背番号「7」の背中をしっかり見ているはずだ。