歓喜のリーグ優勝から1カ月以上の時が流れ、18日からようやくCSファイナルステージが始まる。阪神は長すぎる調整期間に、宮崎でのフェニックスリーグに主力を派遣させた。14、15日の2日間は岡田彰布監督(65)も視察する中、野手もベストメンバーが出場。記者も同行した。

目慣らし、実戦感覚を取り戻すためで勝敗は関係ないが、14日西武戦(アイビー)では、西武の育成4選手のリレーの前に1点に抑え込まれての黒星となった。ここでは、すでに来季への戦いが始まっている。しかも、この中から、さらに第2次戦力外通告を受ける可能性もあり、阪神1軍ベストメンバー相手に結果を出してアピールしようという必死さがひしひしと伝わってきた。

今季12勝を挙げた大竹耕太郎投手は一足先に12日の韓国プロ野球選抜<2>戦に調整のため先発し、5回1安打無失点と快投した。場所はソフトバンク(B班)がキャンプを行う生目第2球場。18年2月に背番号「133」で初めてプロのユニホームでプレーした原点だ。「ここで死ぬほどノックを受けたし、あんまりいい思い出はないですけど」と、隣のサブグラウンドでの思い出を懐かしんだ。

済々黌(熊本)で甲子園を沸かせ、早大のエースとして活躍。だが、その後の不振でプロ入りは17年育成ドラフト4位。1、2軍同時に行うソフトバンクキャンプでもほぼ話題になることはなかった。キャンプが始まって2、3日後、初めて記者が名刺を渡すと「お姿は見ていました。よろしくお願いします」とうれしそうに受け取って、いろいろ話してくれたことを思い出す。

大竹にとって、ポストシーズン前に原点のマウンドに立てたことは、プラスとなったはずだ。「初めての練習試合では多分130キロぐらいしかでてなかった」。そんな1年目から鍛え、厳しい練習に耐え、経験を積み、新天地の阪神で先発の柱となれたことを再確認できたのではないか。

記者もソフトバンク担当だった19年2月以来4年ぶりに生目第2球場に来た。真っ青な空、真っ黒な土を見つめながら、大竹と同じくソフトバンク育成からはい上がった阪神の二保、渡辺雄のことが頭をよぎった。2人はリーグ優勝に貢献できずポストシーズンを前に戦力外通告を受けた。この球場で泥だらけになっても、まったく活躍できないまま消えていったソフトバンクの選手たちの姿も浮かんできた。

思ったような結果を残せず、悔しい思いをするのは、なにも球界だけではない。いろんな人がいろんな選手に自分を重ね合わせて応援するから、プロ野球は楽しい。いくつもの壁を乗り越え、プロ6年目で最高に輝いている大竹が、CS、そして日本シリーズでも、躍動している姿を見てみたい。【阪神担当=石橋隆雄】