日本ハム立野和明投手(25)の明るい姿に元気をもらい、達孝太投手(19)のまっすぐな言葉が胸に響いた。

9月30日のイースタン・リーグのヤクルト戦で、立野が好投した。先発し、6回を無失点。「自分が取り上げられるなんて今日だけっすよね」と謙遜しつつ、時折冗談を交えながら明るく取材に応じた。「1人でも2人でも応援してくれている人がいる限りは、『ありがとうございます!』って思いながら投げてるっす」。

立野の表情や振る舞いを見ていると本当にそうなんだろうなと心から思う。「SNSはやってないので、鎌ケ谷の坂とか、球場で声かけてくれるので。本当にありがたいっすよ…」と実感を込める。8月から20回以上鎌ケ谷に訪れている私も、「親戚!?」と勘違してしまうような親しみやすさで、ファンの人とコミュニケーションを取っている姿をよく見かけてきた。

もう1つ印象的だった出来事がある。2年目の達の言葉だ。「発信したいことはあるんですけど、気をつけながらあげなきゃいけないし。それで野球の時間が削られるのであればやるべきではないのかな」。達は入団時に行われた新人研修からSNSへ慎重な姿勢を示しており、8月下旬の取材でもその意思は変わっていなかった。今のところSNSを始めるつもりはないという。

ちなみにルーキー藤田大清外野手(19)がプロ入り後、意識の高さに驚いたという選手に達の名前を挙げていた。後輩から尊敬される達は、休日も遊びに行かず、ジムなどで体を整えることに時間を使うという。「野球が終わってからでも遊べるじゃないですか。今は目標があるのでそれに向かって野球に時間をつぎ込むことが、プロ野球選手のあり方かなって」と若い時間はストイックに夢のために使う。達は身長194センチと存在感があり、キリッとしている。話しかけづらいと勝手に思っていたが、昼食前のバタバタとした時間でも「(取材)良いですよ!」と爽やかな笑顔で応じてくれた。

自分と年の近い選手が、青い空の下で一生懸命生きている。便利で面白いスマホの画面よりもリアルと向き合っている。2人の選手を見ていると、なんだか考えさせられる。そんな鎌ケ谷の景色だった。【佐瀬百合子】

日本ハム達孝太
日本ハム達孝太