ベテランは、誰よりもチーム思いだった。

3年ぶりにロッテに復帰した沢村拓一投手(35)は「言葉の力って結構、信じている。どんな状況でも常に等しく、コミュニケーションはしてきたつもり」と今季、率先して食事会を開くなど積極的に交流を図ってきた。

周りにも感謝した。「気をつかわれるのが嫌だったので、チームの人たちが溶け込めるようになってくれたんじゃないかなと思います。このチームでは上から4番目ですし、常に後輩たちとは平等のスタンスをとってきたので、コミュニケーションはよかったですね」と古巣復帰1年目を振り返った。だが「実質、平等じゃないんですけどね。お金払うの先輩なので」と訂正し「平等というか、対等ですね。対等に話してきたつもりです」と続けた。

8月、可逆性脳血管攣縮症候群の診断を受け、チームを客観的に見て気づいたことがあった。「人任せな部分が多くみえた。ゴミが落ちてたら誰かが拾うだろうなとか、ベンチだったら誰かが声出すだろうなとか。8月に入ってすごく負けている時期だったので、そう見えたのかも知れないけど」とあらゆる角度からチームメートを見ていた。「誰かがやるだろうなっていうのじゃなくて、俺がなんとかしてやるっていうのが1人でも多く出て来たら、もっともっと良くなると思う。伸びしろしかない」と前を向く。

今季チームは2位。一時は首位に立ったものの、最終的に首位オリックスとは15・5ゲームの差がついた。「俺がやるっていう気持ちを持つ人間が、表面的な部分じゃなくて、深いところで出てきてほしい。僕も思っていますし」。来季14年目を迎える沢村がチームにメッセージを送った。【ロッテ担当・星夏穂】