私ごとで恐縮だが、昨年末に結婚した。1月31日付の日刊スポーツ12球団担当の意気込みに「夫婦円満の秘訣(ひけつ)もひそかに取材したい」と記した。キャンプ中の激務ですっかり頭から離れていたが、上司からのカツで思い出した。「せっかく書いてるねんから、しっかり取材してこんかい!」。新婚で臨んだ沖縄での阪神キャンプ取材1カ月。決して多くの選手に聞けたわけではないけれど、隙を見て数人と雑談させてもらった。

2軍キャンプ地では糸原健斗内野手(31)に「俺に聞くなよ~」と“口撃”を食らったが、しっかり立ち止まってくれた。「許す心!」とひと言。「絶対トラブルは起きるんだから、そこでそういう心を持っておかないと」と言った。チームでも兄貴分の男らしく“夫は寛大なハートで妻を受け入れろ”というメッセージを感じた。

2軍キャンプ地で汗を流していた豊田寛外野手(26)は「逆に僕は許されてしかないです」と明かしてくれた。妻は年下だという。「なんでも許されてしかいないので、感謝しかありませんよ。すごく気を使ってくれる。ある意味、向こうがやりたいようにコントロールされているのかもしれませんが、尻に敷かれる方が僕は楽なんですよね」。これだけ男前なら何でも許したくなってしまうよな…なんて本音は隠しつつ、自然体でいることが大切だという思いを感じ取った。

島田海吏外野手(28)は「ありきたりかもしれないけど」と冷静に話してくれた。「我慢するより、言いたいことをお互いに言う。うちもたまにケンカしますよ。でも、思ったことがあればすぐに言うことが大事じゃないかな。しょうもないことでもいいので。そうやって言いやすい空気をつくってあげるのも大切だと思う」。同い年の妻とは何でも言い合える関係性なんだとか。当たり前だけど大切な、人間関係のキーワードを受け取った。

個人的には青柳晃洋投手(30)は外せなかった。母利香さんから「自分の息子だから恥ずかしいけど、晃洋は本当に良いパパ」という言葉を以前に聞いていたからだ。1軍キャンプ地で質問してみると「お互いが立てられたら最高」と返してくれた。

「奥さんの友だちの前では奥さんを立てます。逆に僕の友だちがいる時、奥さんは僕を立ててくれます。“よいしょよいしょ”で。どっちが上とか下とかはない。どっちのフィールドなのか感じて、奥さんの友だちがいるところに奥さんがいたら、立ててあげる。大事かなと思いますね」。誰だって、青柳のような振る舞いをしてくれたらうれしいものだろう。心優しき右腕の気遣いを見習いたいと心底思った。

寛大な心、自然体、本音の言い合い、気遣い…。夫婦円満の秘訣(ひけつ)を自然と実践している虎戦士たち。心安らぐ家庭をつくれているからこそ、グラウンドでエネルギーを爆発させられるのだと思った。【阪神担当=中野椋】

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