完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)を多角的に掘る。題して「朗希を○○しよう」。第2回はロッテ担当・金子真仁記者(41)のこだわりのスコアブックの書き方。完全試合のスコアはコンビニでも発売中で記号や数字からも、偉業のすごみがにじみ出る。みなさんも「朗希を書こう」。

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「あのさ、実は…」と切り出す電話口の声色が、少し低い。佐々木朗が完全試合を達成した数日後、部長から突然の着信だ。何だろう。セイコーマートでの夜食代なんて経費請求してないし。「金子のスコアブックを販売するって話がね」。

驚いて変な声が出た。でも少し誇らしい。コンビニのプリンターを使って、完全試合の記録を販売するそうだ。高3以降、報道公開され球速測定が可能な全試合の全球をこつこつ記入してきた。完全試合の4月10日オリックス戦は、私が記録した通算44試合目。9回2死、杉本への最終球の147キロフォークは、生で見た佐々木朗希の通算2487球目だった。

初めてブルペン投球を見たのは19年3月28日。練習試合の合間だった。あまりのすごさにいろいろなことを覚悟し、その3日後に作新学院戦で150キロ台連発の衝撃を見せた。これ、全球の球速を付けよう-。高校時代の練習試合はスカウト陣が持つスピードガンに頼るしかない。頭を下げ、横から後ろから失礼し続けた。念のため、上司に頼んで部でも1台保有し、実際に測定した試合もある。

日刊スポーツのスコアブック(以下スコア)には結果を書く欄の左側に、狭いスペースがある。そこに球種と球速を書き連ねる。たまに粘る打者がいる。高校時代、1人の打者が最も粘ったのは1打席8球。豆粒のような字で「外53」(外角153キロの意味)「↑31」(スライダー131キロの意味)など書き込む。今回は控えるが、例えばフォークの平均球速、直球の空振り率などの推移も算出可能なデータベースになった。

ファンが趣味で全試合のスコアを付けるのは労力がかかる。でも週1回、例えば佐々木朗の試合だけ…なら面白いかもしれない。書式は自由。自分さえ解読できれば、何も問題はない。生配信のアーカイブを視聴できる、何とも便利な現代。プロ初登板から付け直すことは十分に可能だ。

新聞など紙媒体のメリットに「一覧性」「保存性」といったものがあるが、スコアブックも同じ。ページをめくり「あの試合のあの対戦は…」と回想しながら振り返ることができる。せっかくだから、蓄積したスコアからレアなデータを1つ。佐々木朗は、4月24日のオリックス戦で1番福田にストレートの四球を出した。私が全45試合で記録した打者842人との対戦で、ストレートの四球は8度目だった。【金子真仁】

▼金子記者のスコアブックは全国のコンビニにあるマルチコピー機でプリントできます。大きいA3サイズ、A4光沢紙が選べ、価格300円。商品番号「NSD00284」。セブン-イレブンではコピー機の「プリント」→「コンテンツプリント」→「eプリントサービス」と進み、商品番号を入力。ファミリーマートやローソンでは「コンテンツサービス」→「eプリントサービス」と選択し、番号を入力してください。お問い合わせは【電話】03・5830・1808(eプリントサービス)。