分岐点に立つ日が刻々と近づいてきた。プロ野球ドラフト会議が23日に迫る。今年はどんなドラマが待っているのか。さまざまな思いを抱えながら指名を待つ8人の男たちを全4回にわたって紹介する。第1回は上智大の最速153キロ右腕、正木悠馬投手(4年=米レドモンド高)とBC神奈川の冨重英二郎投手(24=国際武道大)。
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野球は高校で終え、獣医師になろうと思っていた。「プロを目指そうなんて全く考えていませんでした」とBC神奈川の冨重は当時を懐かしそうに振り返る。気がつけば24歳。独立リーグのドクターKは、今も野球を続けている。「ドラフトで指名がかからなければ、野球はこれが最後。親にも大きなサポートを受けてきたので、最後に1年だけ挑戦させてほしいと」。覚悟の1年だった。
国際武道大から社会人のバイタルネットへ進むも、首脳陣の信頼を得られず半年余りで退団に。「本当に自分の野球人生はこれでいいのか」。くすぶっている自分に嫌気が差していたとき、強豪の日立製作所からBC神奈川に移った安里海投手(26)に相談した。東海大相模時代の2歳上の先輩から、在籍1年目でもドラフト指名が受けられる独立リーグのメリットなどを聞き、後を追うようにチームの入団テストを受けた。合格し、練習生からはい上がった。
今季は最優秀防御率(2・01)を獲得し、奪三振率は驚異の10・4。今年5月には、自己最速を1キロ更新する151キロをマークした。巨人や西武でプレーした高木勇人投手兼任コーチ(36)は「春先のNPBのブルペンを見ているみたい。迫力あるボールには怖さがあり、これはプロにいける可能性がある」と、太鼓判を押した。
高校、大学、社会人、そして独立。各カテゴリーを渡り歩いた冨重は「決していい環境とはいえない面もあるのは分かってますが、それでもみんなハングリー精神がすごい」と力を込める。逆境に負けない強さは、プロの舞台でもきっと生きてくるはずだ。BC神奈川から第1号となるNPB選手誕生へ-。活躍の準備はできている。【平山連】
◆冨重英二郎(とみしげ・えいじろう)2001年(平13)6月1日、神奈川県横須賀市生まれ。横須賀中央リトル→横浜東金沢シニア→東海大相模→国際武道大→バイタルネットを経て、「地元であり、自分が育った神奈川でNPBを目指せる環境」を求めて今季からBC神奈川に加入。目標の選手はカブスの今永昇太。178センチ、78キロ、左投げ左打ち。




