もう大リーグに太刀打ちできないのか。そんな気すらしています。日本時間の11日、ソフトバンクから海外FA権を行使した千賀滉大投手がメッツと契約合意したことが分かりました。
ニューヨークの地元メディア報道によれば、年俸などの総額は5年7500万ドル(約105億円)だそう。同投手のソフトバンクでの今季年俸は6億円(推定)。単純計算でいきなり3倍以上の年俸をもらうことになります。
先日もオリックス・バファローズからポスティングシステムで渡米を目指していた主砲・吉田正尚選手がレッドソックスに5年総額9000万ドル(約126億円)で移籍と報じられたばかり。吉田正選手の今季年俸は4億円(同)で、こちらは6倍以上。驚くと同時に日米のマネー・パワーの差にはため息しか出ないというところでしょう。
30年ぐらい前まで日米球界の年俸差は、それほど大きくなかったと言われます。球団別ではなく球界全体がもうかるシステムを構築してきた大リーグとの組織としての差はあるにしても、両国の経済発展状況に違いもあるのでしょう。
これも最近、話題になりましたが米国の一部の州では「マクドナルド」でアルバイトする時給が円換算で3000円以上になると言います。日本では約1000円としても3倍を超えています。これが本当なら千賀投手の年俸が3倍になってもおかしくないのかもしれません。
もちろん金銭面だけではないでしょうが、これでは日本で活躍した選手がみんな「いつかは大リーグへ」と考えるようになるのは無理もないこと。徐々に高まるこの流れをどうするか。それを考えることは重要ですが規制をかけるというのも現代社会のやり方としてはしっくり来ませんし、難しい問題でしょう。
さらに思うのは「大リーグ優位」はお金の面だけではないということです。少し前の話ですが、ロッテの新監督として吉井理人氏の就任が決まりました。前監督の井口資仁氏の辞任を受けてのことですが、この2人はいずれも米球界経験者。前監督と現監督が“メジャー組”というのは日本の球団としては初めてのことです。
そうやって見回してみれば、米国を経験した指揮官は一気に増えています。特にパ・リーグ。今季の楽天・石井一久、日本ハム・新庄剛に加え、西武の新監督として松井稼頭央氏が就任しました。
日本一に輝いたオリックス中嶋聡監督はプレーはしていませんが、日本ハム時代に米国へ本格的に“コーチ留学”しています。ここに吉井氏を加えれば、実にソフトバンク藤本博史監督を除く5人がメジャー組という状況になっています。
一方、セ・リーグを見ればメジャー組はヤクルト高津臣吾監督だけですが、そのヤクルトはリーグ連覇に成功しています。中嶋監督のオリックスもパ・リーグで連覇していますし、一概には言えませんが今後も「監督=メジャー経験者」という流れは続くでしょう。それどころか「それが当たり前」という時代すら来るかもしれません。
来季のプロ野球は構図として「メジャー組」パ・リーグVS「ドメスティック」セ・リーグという感じでしょうか。そんな中でも阪神監督に就任、もちろんメジャー経験なしの球界最年長・岡田彰布氏が「そんなんおまえ、アレよ」などと言いながらコテコテの日本野球を見せ、高津ヤクルトを下してパ・リーグ勢も撃破しての日本一に…などと想像すると、なんだか楽しい気もしてきます。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)




