<イースタン・リーグ:DeNA3-1日本ハム>◇3日◇鎌ケ谷

日本ハム、ロッテ、ダイエーで21年間の現役生活、ソフトバンク、阪神、中日で2軍バッテリーコーチを21年間(うち1年間は編成担当)、計42年間をプロ球界で過ごした田村藤夫氏(61)が、イースタン・リーグDeNA-日本ハム戦をチェック。日本ハムのルーキー今川優馬外野手(24=JFE東日本)のフルスイングに目が止まった。

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5番に入った今川のフルスイングには特徴を感じた。捕手目線で観察するなら、打席に迎えたら嫌なバッターだ。タイミングが合っていなければ、あそこまでのフルスイングはなかなかできないもの。スイングの速さと、豪快さが印象に残った。

第1打席は初回2死一塁。カウント1-0から浅田の真ん中ストレートを打ち、打球は三遊間へのヒット。DeNAのショート森が逆シングルでグラブを出すもボールをはじき2死一、三塁とした。この後、次打者の初球に二盗に成功。いいスタートを切っており、得点には至らなかったが2死二、三塁とチャンスを広げる走塁だった。

余談になるが、この場面で森が捕球していれば、二塁封殺はできずとも2死一、二塁だった。一塁走者を三塁に進めてしまったのは、球際でのほんのわずかな差と言える。私の目には打球に対して森の体勢は追いついていただけに、もったいない打球処理といえた。

本題に戻ると、今川の第2打席は4回の先頭打者。カウント2-2から、勝又の真ん中インコース寄りのストレートをセンター前へライナーで運んでいる。この打席はボール、ファウル、空振り、ボールで5球目を打つのだが、追い込まれてからの今川は、引っ張ることよりも、センター返しへの意識が強かったと感じた。状況に応じた準備ができているところにセンスが見える。

第3打席は6回1死で迎え、飯塚の初球146キロのインコースへのストレートを打ち、ショートフライに終わっている。ストレート狙いで打ちにいっているが、コースが良くさらに球威もあったために詰まっていた。対応しきれなかったと感じた。第4打席は死球。4打席で3打数2安打だった。

まだ粗い感じは否めない。ネクストバッターズサークルでのスイングは、バットの軌道が下から上にかち上げるよう。この試合で打った場面は3打席ともストレートを打っており、うち2打席はファーストストライクを打っている。追い込まれた状況で、低めの変化球にどう対応するか。そういう場面でのバッティングにこれからは注目したい。

この試合では清宮が4番に入っていた。第1打席では打点を挙げるヒットを放ってはいたが、第2、第3打席はいずれもカウント3-0から4球目を打ち、左飛と浅い中飛に終わっている。3ボールからスイングするのなら、それこそ空振りか、ホームランか、くらいのフルスイングが見たいところだ。今川の小気味いいスイングを見ていただけに、清宮の当てにいくように映るスイングには、余計に消化不良の感を拭えなかった。

日本ハムの右打者のフルスイングと言えば、中田がいる。今川はこれから試合展開に応じたバッティングを求められていくが、1軍には中田というお手本がいるのだから、この日感じさせてくれたセンスを、どんどん実戦の中で磨いてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)