<イースタンリーグ:ロッテ2-1日本ハム>◇1日◇鎌ケ谷

田村藤夫氏(62)は、ロッテの二木康太投手(27)のピッチングに注目した。

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二木のピッチングは7回3安打1失点、5奪三振1四球。ホームランによる失点のみという内容だった。1軍で数字を残している二木であれば、ファームで7回1失点は驚く結果ではない。本来なら1軍で投げているべき投手というのが私の感想だった。

最速145キロ。外角の低め中心で、そのコースの出し入れで抑えるピッチングだった。ロッテの1軍は二木のように球速は150キロ未満も、制球を備えた右投手が多い。佐々木朗希以外はほぼ同じタイプと言える。石川や美馬は右打者の内角にシュートを見せながら、幅のあるピッチングが身上。それに比べると、二木は右打者の内角へのボールが少ない。

この試合での内容を見ると、見逃し三振を4個奪っている。フォークで空振りを奪って追い込み、直後の真っすぐを、フォークと同じ高さに正確に投げ見逃しという攻め方は良かった。そうした精度があるからこそ、1軍レベルの投手と言える。

唯一の失点となったのは3回、左打者宮田に対しカウント2-2から内角への真っすぐが甘く入り、ホームラン。その前のボールでフォークで空振りを奪っており、内角低めにしっかり投げきって見逃しを奪う狙いと感じたが、甘く入ってしまった流れだろう。

今の二木はファームでの7回1失点を、どう自己分析すべきか。そこが大切だと感じる。数字としては無難な結果だが、打たれた内容をよく振り返る必要がある。言うまでもないが、内角は制球を間違えれば長打になる確率が高い。対して外角は甘くなっても、反対方向のシングルヒットで済むことも多々ある。

勝負に行く内角球は、失投は許されない。そういう注意深さを確認して投げているかどうか。そこの部分が曖昧になっていれば、それこそ1軍でも同じミスを重ねるだろう。失投はどんな質の高い投手でも1試合の中で必ず何球かはあるもの。それが、例えばオリックス山本のように、球速があれば、失投だとしてもファウルなど打者の打ち損じで九死に一生を得ることができる。

しかし、二木の球威ならばそうはいかない。そこをよく自覚した上で点差、イニング、打者を確認した上で、慎重に投げなければならない。宮田は7番打者。今後の二木のことを考えると、非常にもったいない1発であり、この失投に懲りなければ、同じことが繰り返されるのではと、やや気にかかる。

チャンスをつかむために、アピールする若手投手と、二木では置かれた立場は違う。ある一定の信頼は得ているはずだ。その信頼を失わないよう、ファームであっても即失点につながる失投は厳に注意すべきだ。(日刊スポーツ評論家)