驚いた。前日18日は大船渡対釜石の試合後、敗れた佐々木朗希投手(3年)と同じ景色を見たいと思い、野田村から大船渡へドライブ取材をし、青森・八戸市のホテルに帰着したのは日付が変わった深夜0時15分。この日(19日)は朝10時半すぎ、のんびり球場に着いたら早くも満員だった。

第2駐車場となっている久慈工のグラウンドで誘導にあたる高校生に「もしかして昨日より混んでる?」と聞くと「混んでます。昨日より混んでるよね?」と20メートル先の高校生に声を張って確認してくれた。彼も「混んでる!」と証言した。高野連関係者は「朗希くん人気だけじゃないんですね」と笑顔を見せた。

岩手県高野連・大原理事長によると「実は、ある程度は想定していたんです」という。この日は第1試合に地元久慈、第3試合に久慈東が登場する。第2試合は強豪・花巻東も登場。「昨日はカウントできる範囲で1500人。今日はそれを超えそうですね」と話した。

花巻東・西舘勇陽投手(3年)らの視察に、この日も前日同様に4球団のスカウトが集結。ある球団のスカウトは「今は田植え前の時期だし、地元の人も時間があるんじゃないかな。久慈の試合が終わったらみんな帰るんじゃないかな」と予想していたが、第1試合で久慈がサヨナラ勝ちしても、スタンドの空席はそんなには増えない。

減ったのは報道陣で、前日の約50人から、この日は5~6人といったところ。佐々木朗希フィーバーがなくとも、岩手の高校野球熱は高い-。そんなことを感じながら、ふと外野席を眺めると、大船渡が登場した前日よりも芝生席に座ってゆっくり観戦する人が多いことにも気がつく。やませの霧はなく、適度に日差しが差し込む新緑の野田村。しばらくゆっくりしたくなる。【金子真仁】

釜石にサヨナラ負けで初戦敗退を喫した大船渡・佐々木(中央奥)は、表情を隠して相手を見つめる(2019年5月18日撮影)
釜石にサヨナラ負けで初戦敗退を喫した大船渡・佐々木(中央奥)は、表情を隠して相手を見つめる(2019年5月18日撮影)