幻に終わった昨夏の甲子園の対戦が、5月の宮崎で実現する。

宮崎県の高野連が、5月の招待試合の予定を発表した。智弁和歌山、広陵(広島)を招き、14、15日の2日間にわたってひなたサンマリンスタジアム宮崎で県内の学校と試合をする。その中の一戦が、智弁和歌山と宮崎商のカードだ。

両校は昨夏の第103回全国高校野球選手権大会の初戦で対戦する予定だった。だが新型コロナウイルス感染者が部内に出た影響で、宮崎商が辞退。大会史上初の不戦敗で、甲子園を去った。

宮崎大会を勝ち抜きながら、甲子園で1試合もできなかった宮崎商ナインのことを、大会関係者はずっと気にしていた。区切りのないまま部活を終えた3年生部員のことが、気がかりだった。

甲子園球場のスケジュールが空く12月に両校の3年生で試合をやれないものか。そういうことも模索した。だが、すでに3年生は次のステージに目を向けている時期。野球を続けるために準備している3年生もいれば、受験勉強に打ち込んでいる3年生もいる。部員それぞれの事情があり「冬の甲子園」はかなわなかった。

3年生同士は対戦できなかったが、当時の1、2年生が思いを受け継ぐ。昨夏の全国王者、智弁和歌山の中谷仁監督(42)は「大阪桐蔭に勝てないと日本一になれないぞ、と言いながら練習に励んでいます」と、センバツ王者の大阪桐蔭を意識しながらモチベーションを高めている。その意気込みを、宮崎商は肌で感じることができると思う。

コロナ禍に泣いた球児の悲運を、悲運だけでは終わらせない。球史をつなげる力の一部を見る思いがする。【堀まどか】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)