うわっ。そう思ったのは6回裏1死一、二塁でヤクルト中村悠平が二塁へのゴロを放ったときだ。阪神が逆転に成功した直後。しかしリードはわずか1点。なんとか守れ…と思っているところでの二塁へのゴロである。

二塁を守っていたのは新加入のソラーテだ。先月26日、東京ドームでの本塁打デビューから新風を吹き込んでいるが同時に不安な守備を露呈している。「大丈夫か」と思ったがここはきっちり処理。見事に4-6-3の併殺を決め、ピンチをしのいだ。勝利につながるプレーである。「うわっ」と思って失礼した。

そんなソラーテの守備関係についてニヤリとしてしまう話があった。前日7日、新助っ人が使用しているグラブのメーカー担当者が神宮球場を訪問。そこで現物のグラブを見たとき「ちょっと。これは…」と驚きを口にしたのだ。

途中加入なので米国で使用していたものを持参している。今回は来季も阪神でプレーする場合に備え、新しいものを製作しようと型取りに訪れたのだった。そこで驚いたのは現状のグラブの状態について、だ。

草野球、少年野球と少しでも野球をやったことのある人なら分かると思うがグラブは育てるもの。最初は硬いがオイルを塗り、自分の形に合わせていく。磨くなど手入れも欠かさないのが理想だ。野球関係者はこれを「育てる」と表現する。オリックス時代のイチローが試合後に取材を受けながらグラブを磨いていたのは有名な話だ。

だがソラーテのものはそれにはほど遠い様子だ。確かに名手のグラブはいい感じに曲線がついているのだが新助っ人のそれは2つにパクッと折れているような感じ。日本のプロレベルで言えば、およそ育っていないというところか。外国人選手は日本人に比べ、それほど道具に気を使わないケースが多いというが、それにしても…という感じだ。

「今から作っても間に合わないので、とりあえず既製品で合いそうなグラブを持ってきます。高校生が使っているようなものですね」。担当者はそう話した。早ければ9日からの広島3連戦の間にも届くかもしれない。

ソラーテは自身の守備について指揮官・矢野燿大に謝罪しているという。謝られても困るとは思うのだが。とにかく流れを変える力を持っている選手ではある。借金返済へ、守備も打撃もしっかり貢献してほしい。(敬称略)