個人的な思いで申し訳ないが、どうしても同じフィールドで戦ってきた年代の選手というのは気になってしまう。今季は好調な西武といまひとつの戦いが続いている中日との一戦で、注目したのは、今季初登板で先発した涌井だった。
立ち上がりから、すぐに思ったのは「なんでここまで投げていなかったんだろう?」という疑問だった。左足を上げて1度止めてから、そこから左足を内側にひねるようにして投げていた。全盛期の球威はないが、打者のタイミングを外すために改良したのだろう。“3段モーション”に西武の打者もタイミングを取りにくそうにして差し込まれていた。
ベテランになって衰えが出ると、どうしても球威が落ちる。仕方がないのだが、どうしても球速を出すために力むし、体が開きやすくなってしまう。抜けるような球も多くなり、コントロールもつかなくなる。自分自身にも心当たりがあるし、そうやって打ち込まれるベテラン投手を何人も見てきた。
しかし涌井は140キロ台後半のスピードも出ていたし、コントロールもよかった。走者を出してクイックしたらどうなるかが疑問だったが、4回表1死一塁、ネビンに対しての攻めは見事だった。真っすぐを外角低めに投げてカウント2-1となり、そこから外角低めのボールゾーンへカットボール、フォークで空振り三振。5回には1点を失ったが、体がもつなら十分にローテーションに入れるという内容だった。
気になって2軍での成績を見てみたが、11試合に投げて防御率は5・24で2勝5敗。成績を残せていないから1軍での登板が出来なかったのだろう。しかし、それぞれの事情の違いはあるだろうが、実績のある投手というのは数字だけで計れないものがある。私もメジャー移籍前の巨人では当時の原監督から「2軍じゃやる気にないだろ? ケガが治ったら1軍で投げながら調整しろ」と言われた。1軍でやれる自信があればなおさらで、褒められはしないが涌井も闘争心が湧かなかったのだと思う。首脳陣とのコミュニケーションが足りていなかったのかもしれない。
チームとしての状態はよくない。あえて名前は挙げないが、送りバントはストライクゾーンにきた球をしっかり決める。内野ゴロでもしっかり走る。単純なピックオフプレーなどには引っ掛からないように気をつける。こうした基本的なプレーをしっかりした上で、涌井のようなベテランが活躍する。それがチーム浮上へのきっかけになる。(日刊スポーツ評論家)







