阪神対広島 広島み負けガックリする矢野燿大監督(撮影・奥田泰也)
阪神対広島 広島み負けガックリする矢野燿大監督(撮影・奥田泰也)

完敗だ。広島はいよいよ“来た”感じだ。試合前まで広島戦は9勝9敗。打つし、走るし、相手のミスを逃さないし。こんなチームとよく五分で来たものだ。

セ・リーグにとって今季を決定付ける1日になったかもしれない。9日からの3連戦はAクラス対Bクラスの構図だ。しかも阪神-広島を始め、3試合ともBクラスの方が先手を取った。だが結果は逆になった。

試合前の三塁側ベンチ。広島の打撃コーチ・東出輝裕と久しぶりに話す機会があった。指揮官・緒方孝市の考えを感じ取りながら広島打線を支える存在だ。「座りましょうよ」と言うので並んで腰掛けた。

聞いてみたいことはいろいろあったが、一番は「いま、阪神でいいのは誰だと思う?」という話だ。東出は即答した。

「北條はおもしろいんじゃないですか。阪神ではアイツだけ他と違うタイプに見える。例えばコーチの言うことを1人だけ聞かないみたいな。実際は分からんけどそんな感じがします。ときにはプロには大事なことですし。大山は多分、すごく真面目だと思うんです」

なかなかやるな、と思うのは聞く前からこちらの意図を読んでいることだ。悩める4番打者・大山悠輔と北條は同い年。そんな同年齢の2人の比較を聞く前からやってのけた。

逆転負けの敗因はいろいろあると思うが大山に当たりが出なかったことも1つだろう。2回の好機で糸井嘉男が盗塁を企てアウトになってしまったのは気の毒だったが8回、粘った揚げ句の空振り三振は正直、力負けを感じさせた。

ぼちぼち指揮官・矢野燿大と番記者との間でも大山の話題は出ているようだ。しかしここまで来れば「4番大山」を変えることはしないと思う。それはいい。何かを貫くことも大事だ。

思うのは来季はどうする、ということだ。北條、木浪聖也を中心に遊撃の競争は相変わらず続くだろう。では三塁はどうか。ハッキリ言って若手で考えるなら「4番サード」の対抗馬に北條の名前が出ても、現状ならおかしくないと思う。

本塁打数にしても11本の大山に対し、北條は3本だが打数から計算した率なら北條が上だ。大山より北條がいいと思っているのか? と聞かれれば、正直、答えに困るが育成のため、勝つためにやってみることは多いとは思う。(敬称略)

阪神対広島 2回裏阪神無死二、三塁、北條史也は三塁内野安打で出塁する(撮影・宮崎幸一)
阪神対広島 2回裏阪神無死二、三塁、北條史也は三塁内野安打で出塁する(撮影・宮崎幸一)