広島との練習試合は敵の打線が目立った。高橋大樹が2ラン。西川龍馬がソロ。宜野座で赤ヘル軍団が躍動した。室内練習場付近を歩くと途中で試合を退いた西川が打ち込んでいる。

西川は小、中学時代を大阪で過ごし、大阪弁だ。顔を合わせると冗談で「FAで阪神か?」と聞く。この日も久しぶりだったが礼儀に厳しい広島の選手らしく顔を見るなり「こんちわっ!」と言ってくれる。

「いい本塁打やね。虎党にいよいよ印象づけたな」とこの日も同じ冗談を言う。「3年後ですか?」と西川も返してくる。もちろん広島でずっと活躍してほしい、ナイスガイだ。

その高橋大、西川ともに94年生まれ、今年26歳だ。同年齢ではこの日、アクシデントで宜野座に来なかった鈴木誠也らがいる。プロ野球選手豊作の年である。

阪神にも同年齢の選手が多いが、やはり、注目してしまうのがこの男、藤浪晋太郎だ。16日、楽天との練習試合で対外試合2度目の登板をする。

前回の日本ハム戦(9日)は斎藤佑樹との「ドラフト1位対決」。この日、藤浪にそんな話をすると「マスコミのネタでしょ」と笑った。その通りだけど、とにかく注目されるのは逃れられない定めだ。登板前日のこの日はブルペンで44球を投げ込み、調整した。

「前回はストライク先行できなかったので、もうちょっと有利なカウントで進めて、いろんな変化球を使えたらいいなと思っています。実戦では打たれる打たれないのもありますし、状況もいろいろある。ブルペン自体はいい感じなので。しっかり出せるようにと思っています」

ストレート、カットボールだけだった前回と違い、今回はカーブ、フォークも試したいようだ。そんな藤浪をいいなと思ったのが14日に室内練習場で行っていた動きだった。

投手コーチの福原忍に頼み、バント処理を想定したノックを受けた。走者一塁、二塁、そして三塁のケースまでじっくり練習していた。制球難は課題だがバント処理も同様だろう。自身の弱点を地味ながらも懸命に克服しようとしている。

「自分で言ってきたのでね。投げるだけでなく、そういう部分も重要だと考えているんでしょう」。福原はそう話した。プロの投手なら当たり前。しかし、練習試合での登板を前にそこをきっちりやろうとしている姿がいい。(敬称略)