「毎年毎年、読売の○○になっているのがつらいです」。知り合いの虎党からそんなメールが来た。○○にはある動物が入るのだが控える。まだ若い美人からなのでドキッとした。もう少し上品な言葉を使った方がいいのでは…。そう思ったが前日まで巨人相手の無得点3連敗がよほど腹に据えかねたということか。

虎党の思いは似たようなものだろう。この日の勝利でヤクルトとは5勝5敗。巨人以外の4球団に対して借金はなくなった。逆に言えば巨人には5球団ワーストの8敗を喫しており、それが借金3の理由だ。

それでなくても毎日暑いし、しんどいのに阪神しっかりせんかい。そんな虎党にとって少しはスッキリする清涼剤になっただろうか。藤浪晋太郎の勝利は。ようやくの白星。インタビューでの表情を見て率直によかったな、と思う。

試合も妙に面白かった。失策に犠打野選に振り逃げ、捕逸。野球のルールをまったく知らない人と見ていたら説明が大変だろうなと思った。両軍に豪快な本塁打も出た。見どころというか何というか、いかにもビールを飲みながら観戦するナイターという感じだったような気がする。いわゆる個人の感想です。

何年か前、藤浪とこんな雑談をした。不調に陥る前だったと思う。「普通に150キロ超えるわけやし、あまり難しいこと考えずガンガン真っすぐで押していったらええんちゃうの」。能天気に言ったら藤浪は笑いながら応じた。

「それではあかんですね、プロは。真っすぐが来ると分かっていたら160キロでも打たれます。ちゃんと組み立てて投げないとやっぱり抑えられません」

当たり前だが、それが事実だろう。願わくば力で抑え込み、三振の山を築く藤浪の投球を見たかったが、そう簡単ではない。

この勝利から中6日で回り、金曜日の登板と想定すれば9月4日に次の巨人戦、甲子園4連戦(!)のアタマに投げる計算だ。その段階で巨人との差がどれぐらいになっているかは分からない。それでも藤浪が甲子園で巨人打線を抑えて勝てば、虎党はかなりスッキリすると思うのだが。

そのためにもまずはヤクルト戦だ。今季ここまで2度の神宮球場では初戦に勝って連敗というパターンが続いている。少しでも借金を減らし、ゲーム差を縮めてからの巨人戦…なのは言うまでもない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)