「プレ開幕戦」のヤクルト戦に阪神は打ち勝った。試合を見ながら脳裏をよぎっていたのは2月のキャンプ中に敵将・高津臣吾が言っていた言葉だ。
「ウチの課題は、そら、もう分かってるんやけえ。そこをどうするかよ」。浦添キャンプを訪問した日刊スポーツ評論家の緒方孝市に高津はそう語った。2人は同い年、しかも高津は広島出身で地元の言葉で緒方に言ったものだ。
高津の言う課題とは投手力だろう。2年連続最下位に沈んだヤクルト。昨季はチーム打率、チーム防御率ともに最下位だった。それでも投手出身の高津の頭には投手力の整備がある。連覇を果たした巨人はチーム打率は3位だったが防御率はトップ。2位阪神もチーム打率は5位だったが同防御率は2位。やはり勝敗に直結するのは投手力だ。
そんなことを思いつつ、阪神打撃陣に打ち込まれるヤクルト先発スアレスを見ると、今年も苦労するかなと余計な心配をしてしまった。しかし、よく考えると阪神も楽観はしていられないかもと思い当たる。
この日に投げた西勇輝はエースの風格で5回2失点にまとめた。開幕投手こそ復活が期待される藤浪晋太郎に譲ったが安定感はさすがである。この西勇を軸に阪神は藤浪、青柳晃洋、秋山拓巳、そして新加入のチェンまでの5人が当確で6番目をルーキー左腕の伊藤将司、西純矢、ガンケルあたりで争っている状況だ。
この面々が開幕後に問題なく回っていけば理想的だろう。しかしシーズンは長い。不調に陥る投手もいるだろうし、故障者の可能性は常に潜在する。実際にキャンプで高橋遥人が離脱している。
先発スタッフに異変を感じたとき、そこをどう補うか。バックアップ体制をどこまで構築できるかだ。齋藤友貴哉、及川雅貴といった顔ぶれが先日のオープン戦で投げた。彼らはまずファームでローテーションに入るだろう。そこで望月惇志、浜地真澄、あるいはベテラン岩田稔らと競争するはずだ。
虎視眈々(たんたん)と1軍の先発機会をうかがう投手の気配がもっと出てきてほしいし、1軍首脳陣も重視するべき点だ。佐藤輝明の加入で「投高打低」だった阪神の状況が逆転してきたようにも見える。指揮官・矢野燿大の3年目は勝ち抜ける可能性がある。悲願実現のためにも、さらなる投手力強化が重要だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




