指揮官・岡田彰布の予想がほぼ当たった。伊藤将司が完封、打っては15得点という27日巨人戦の大勝を受けた翌日。得てして次は…という不安に岡田は「(先発は)大竹耕太郎やしね。1、2点でもビシッといってくれたらエエよ」。大竹の好投+少なめの得点という展開を予想していた。

そして、この日である。4得点というのは阪神にしては多め? だったかもしれないが、ほぼ予想通りヤクルトを相手に大竹から4投手のリレーで0封しての快勝。「(1回は)2死からやからなあ、心配したけどな、よかったわ」。岡田も笑顔を見せた。

この勝利で地味ながら光ったのは主砲・大山悠輔の走りっぷりではないか。象徴的だったのは1回、先制の場面だ。2死から満塁の好機をつくり、6番・井上広大の当たりは強めの左前打。二塁走者・大山悠輔はどうすると一瞬、思った。だが2死ということもあり、突っ込み、無事に2点目のホームを踏んだ。

さらに6回。2死三塁から中押し、ダメ押しの適時打を左翼線に放った大山は二塁へ激走した。ここはアウトにこそなったが「攻めの走塁」を感じさせる姿を見せたのである。そして9回2死一塁。佐藤輝明の鋭い右前打で一塁走者だった大山は三塁へ走った。

常に全力疾走するのは当然と言えば当然。だが「全試合出場」を岡田から明言されている4番打者ということを考えれば、それほど簡単ではないと思う。

その姿を見て、思い出すのは前監督・矢野燿大がよく言っていたことだ。「オレらはどんなときでも全力疾走する、そういう姿を子どもたちに見せていきたい。そんな伝統を阪神に残していきたいんです」。

矢野自身、監督を終えてから「精神論ばっかり言うてた」と述懐したこともあるが技術論より、ことあるごとに姿勢を説いてきた。その矢野時代、特に21年は優勝までもう少しというところまで行ったが届かず、指揮官は岡田に代わったのである。

だが選手からすれば、いいもの、体に取り入れたものは指揮官が代わっても続けていくはず。精神論ではなく、先の塁を狙うのは現在の野球では当然だし、それを続けている大山は野球少年の見本になる姿だ。

続けるべきことは続け、変えるべきものは変える。それがチームとしての成長だと思うし、それなくしてアレはないとも思うのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

ヤクルト対阪神 6回表阪神2死三塁、左に適時打を放った大山は二塁を狙うも憤死する(撮影・上田博志)
ヤクルト対阪神 6回表阪神2死三塁、左に適時打を放った大山は二塁を狙うも憤死する(撮影・上田博志)