「投げさせられへんわ」。指揮官・岡田彰布が他の監督と違うところはこういう部分かもしれない。抑え投手が打たれた試合後。そこですぐに次の起用は控えるというような談話は、特に最近の監督は出さない。しかし岡田は率直だ。ショッキングな敗戦の後、そのものズバリを言い切った。

それほど痛い負けだ。繰り返すまでもないがクローザー湯浅京己が1点リードの9回に登板しながら2発、それも完璧な当たりの左翼越え本塁打を2本浴びて敗戦投手に。先発・伊藤将司の白星は吹っ飛び、前川右京の貴重な安打も意味がなくなってしまった。

もちろん湯浅だけを責めるのは野球の見方として正しいとは言えない。オリックス先発・山岡泰輔に8安打を浴びせながら2点止まり。さらによくないのは後続のブルペン陣をまったく打てなかったことだろう。山岡をKOした5回途中から9回1死まで無安打が続いた。なんとか代打・糸原健斗が左前打を放ったが昨日と変わり、湿った打線にも責任はある。

「しんどいわのお。形になってのお」-。それでも逆転負けを岡田が悔しがるのは「パターン」「形」にはめての敗戦だからだ。試合前まで阪神は今季の1点差ゲームの戦績が14勝4敗だった。接戦をモノにするスタイルが持ち味。それだけで貯金10をつくっていた。この日もそれで…と思っていた矢先の敗戦だけに「しんどい」のだ。

こんな話もした。「抑えの投手はビビらなあかんよ。(藤川)球児なんかビビりながら投げてたよ。だからよかったんや。まあ久保田(智之)はイケイケやったけど」-。

過去、自らの下で投げたクローザーたちの名前を上げ、強調したのは「慎重さ」だ。湯浅が杉本裕太郎に浴びたソロの経緯が気にいらない。カウント2-2からの6球目フォークが外れ、フルカウントに。直後の7球目真っすぐを打たれたことである。

「ストレート(のタイミング)に1、2、3になってまうよな。フォーク見送られたら。別に四球でもええ、次の紅林(弘太郎)勝負でもええわけやん」。抑え投手としてレジェンドになった球児の名前を出し、抑え投手に対する持論も明かした。いずれにせよ時間は戻ってこない。「湯浅不在」の中、新たな戦いに向かっていかなければならないのだ。交流戦は6勝8敗1分け、借金2だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)