イヤな感じだ。後半戦スタートの試合に負けたからではない。負けるときは負ける。当たり前だが、全部、勝てるはずはない。優勝するチームだって60敗ぐらいはするというのはよく言われることだ。

この試合に限って言えば序盤から勝てるムードは薄かった。先発・青柳晃洋がいきなり自身のけん制悪送球でピンチをつくり、失点。5回までに2回を除く4イニングで先頭打者を出している。これではなかなか流れはつくれない。

5回裏、無死一塁では武岡龍世のバント処理で三塁ベースを空けてしまい、一走・山崎晃大朗を三塁に進めてしまうミスも。対照的にヤクルト守備陣には再三にわたって好守が見られた。期待のルーキー・森下翔太が7回に適時三塁打を放って盛り上げたが8回までは肝心のクリーンアップが音なし。繰り返すが勝てる要素はほとんど見受けられなかったと思う。

だがシーズンには、こんな試合もある。そう言えば虎党は怒るかもしれないが事実だ。だから「イヤな感じがする」というのは敗戦そのものではない。

それは村上宗隆に本塁打されたことだ。バント処理のミスが出て2死三塁になった5回。カウント1ボール2ストライクから梅野隆太郎が高めに外そうとしたつり球を豪快に持っていかれた。この時点で0-5。その得点差以上に「負けた」と思った瞬間だったかもしれない。

阪神は今季ここまで村上に1本塁打しか許していなかった。5月25日、阪神が4点を勝ち越した延長10回裏に岩貞祐太が8号ソロを浴びただけ。「1被弾」はリーグ最少だった。リーグ連覇を果たしたヤクルトの主砲をしっかり抑えていたことになる。それが序盤から好調の一因と言えば言い過ぎだろうが、いい流れはあったかもしれない。

それが後半戦スタートで敵のキーマンに本塁打を許した。「負けるときは負ける」のと同様に「打たれるときは打たれる」のかもしれないが、それにしても調子を上げてきた村上をさらに“いい気持ち”にさせたのではないか。

指揮官・岡田彰布は選手の重圧を少なくし、プレーさせることを重視する。裏を返せば相手に気分よくさせることは歓迎できないのである。「まだまだ、こんなもんじゃない。もっともっと打ちます!」。村上はヒーローインタビューでそう話していた…。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)