“節目”に理想的な快勝だ。そんな印象を持った。復帰が期待されていた右腕・湯浅京己が前日7月31日に今季絶望的と判明。左脇腹筋挫傷という。終盤にあるいは…と思う部分もあるが指揮官・岡田彰布は「今年はもうあかんやろ」と期待は抱いていないようだ。

そして同日、トレード、新外国人獲得などの期限が終了。今季中の補強は終わった。投手ではブルワーを取ったが、ひょっとして…と思っていた助っ人野手の補強はなし。言い方を変えれば「今季はこれでいくよ」ということがはっきり決まり、初めて戦う試合だったということだ。

そんなゲームで西純矢の投打にわたる活躍、大きな1発を放った佐藤輝明、さらに森下翔太、大山悠輔、近本光司と中心選手、若手が活躍しての快勝である。この5人はすべてドラフト1位での入団。若い人は知らないかもしれないが、かつて「補強下手」と言われた阪神のイメージを覆すような光景だろう。

そんな試合で「やはり」と思わせたのは同点の5回だった。この回先頭の梅野隆太郎が中前打で出て無死一塁。ここで8番・木浪聖也に犠打指令だ。阪神の試合をあまり見ていない人なら驚く場面かもしれないが今季はこれが“平常運転”。この日は打力も期待できる西純だったが2死二塁にして1番・近本にかけるのは今季の形である。

岡田野球の象徴とも言うべきなのは犠打だ。しかし「判で押したように」ということでもない。直近では7月30日の広島戦(甲子園)。同点の6回、近本が安打で出た。中野はバントか…? と思ったが打たせて三振。その後に森下の2ランが出た。

さらに同28日の同カード。ここはいきなり近本が出た。しかし中野に犠打はなく、左飛。その後に近本が盗塁し、森下が先制打を放っている。

バントは考えなかったんですか? 両方で理由を聞くと岡田はこう言った。「走らせよ、思てたからな」。投手を見て犠打、盗塁、エンドランと作戦を変えていく。状況にも応じてだが信念と柔軟性を持ち合わせる。この日、実行した練習時間の短縮も同じだろう。

もう1つの象徴は四球である。四球の査定を安打並みに変えるなどその重要さを強調する今季。この日の決勝点は梅野の押し出し四球だった。岡田の理想と選手の働きがマッチした長期ロード初戦だった。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!

中日対阪神 中日に勝利し、岡田監督(右)とタッチを交わす西純(撮影・藤尾明華)
中日対阪神 中日に勝利し、岡田監督(右)とタッチを交わす西純(撮影・藤尾明華)