この朝、指揮官・岡田彰布の妻、陽子が観戦したという記事が日刊スポーツに載っていた。「(観戦時は)前にいつ負けたのか覚えていないぐらい負けていないんです」。そう話していたようだ。この日も甲子園に姿を見せた。阪神1点ビハインドで迎えた5回裏終了のタイミング。球場内に設置された自動販売機で飲み物を買うときに、少しだけ話をさせてもらった。

「そうなんですよ。昨日あんなことを言ってしまって、どうしましょう。あの投手(九里亜蓮)はすごくいいんですか?」。自身の舌禍? を心配してかそう話した。しかし阪神は6回裏に追いつき、8回に突き放した。陽子はまた敗戦を見なかったことになる。

「天王山」と言うにはゲーム差がついていたが、それでも注目の3連戦ではあった。しかし、もはや阪神はいわゆる“ゾーン”に入っており負ける気がしない。実際はともかく、はた目には軽々と3連勝し「M5」としたように見える。

追いすがった広島とどこが違ったのか。いろいろとあるだろうがやはり「投打の粘り」という点で阪神に分(ぶ)があったように思う。それは四球に表れる。この日の伊藤将司を含め、3連戦で村上頌樹、大竹耕太郎と3人が連日10勝をマーク。そしてこの3投手はこの3連戦でまったく四球を出さなかった。

3試合全体で見ても、阪神が与えた四球は9日の20回戦で出した桐敷拓馬の1つだけ。3試合で1四球は称賛に値するだろう。あまり選手を褒めない岡田も「たいしたもんや。やっぱりコントロールいうことやな」と話した。この日の九里も意地の好投を見せたが8回、近本光司に出した四球が結果的に響いた形だ。

今季、阪神投手陣が出した四球はこの日で「273」になったが、これは12球団最少だ。一方、打線が選んだ四球は「450」。こちらは12球団最多である。四球だけではないが、これだけでもこの位置にいる意味を物語っている。

「大事な3試合だからじゃなくて、今季最初から四球は意識してましたから。それが今季の普通なんです。その普通がこの3連戦で出たということですね」。11日が49歳の誕生日である打撃コーチ・今岡真訪は笑顔で話した。「M5」で12日からは巨人3連戦だ。一気に決められるか。しばし、この雰囲気を楽しみたい気もするが岡田が宙に舞う日は確実に近づいている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対広島 7回裏阪神1死満塁、糸原をベンチに下げ伊藤将を打席に向かわせる岡田監督(撮影・上田博志)
阪神対広島 7回裏阪神1死満塁、糸原をベンチに下げ伊藤将を打席に向かわせる岡田監督(撮影・上田博志)
阪神対広島 広島に快勝しタッチを交わす阪神の選手ら(撮影・前岡正明)
阪神対広島 広島に快勝しタッチを交わす阪神の選手ら(撮影・前岡正明)
阪神対広島 8回裏阪神2死満塁、糸原(左)の中前勝ち越し2点適時打に満面の笑顔を見せる岡田監督(撮影・上田博志)
阪神対広島 8回裏阪神2死満塁、糸原(左)の中前勝ち越し2点適時打に満面の笑顔を見せる岡田監督(撮影・上田博志)