広島が16年から3連覇していたときの指揮官、緒方孝市(日刊スポーツ評論家)は勝った後、よくこんなことを言った。「いや、紙一重ですよ、紙一重」-。快勝でも指揮を執っている立場からすればそうなのか、と思ったものだ。

阪神にとって大事なこの広島3連戦の2戦目も、まさにそんな展開だったと思う。6、8回の好機に佐藤輝明に1本出ていれば。6回、木浪聖也が犠打を決めていれば。勝負に「たられば」はないのだけれど、そう振り返ってしまうゲームだったかもしれない。

若い門別啓人の5回2失点はよく投げたと思う。両軍とも2併殺が出た1点差の接戦は首位の広島が逃げ切った。いつも謙虚な姿勢の敵将・新井貴浩をして「これは大きな1勝です」と表現した通り、カープにとっては優勝に向け、大きく自信のつく試合になっただろう。阪神は厳しい結果になったのは間違いない。

これで116試合を終えた阪神、この広島3連戦が今季41カード目だ。そこで少しだけ気になることがある。それは“勝ち越しの形”だ。○●○という結果になったのが過去に2度だけということだ。

いずれも横浜スタジアムのDeNA戦で5月10~12日と今月2~4日の2度だけ。もちろん41カードの中には2連戦だったり、雨天中止があったりするのだが、それでもなんだか少ない気はする。

勝ち越せばなんでも同じではないか、何の意味があると言われそうだが、この流れは勝負強さに関係すると感じるからだ。勝って、負けて、そして勝つ。そういう繰り返しが粘り強さを生んでいく気がする。

日本一になった昨季も○●○は中日戦で2度あっただけで今季と似ているのだが昨季は3連勝が多かったので、そこがまるで違う。勢いで勝つのではなく、じっくり戦ってしのぎ切ることが重要だし、チームの戦法にも合っていると思う。

「野球は負けたり、勝ったり」。これは岡田に指導者としての道をつけた仰木彬が近鉄監督時代に口にしたセリフでもある。できれば3連勝…と狙った3連戦ではあったが、最低ラインともいうべき勝ち越しのチャンスはまだ残っている。

もっと言えば3位以内に入れば、シーズン後にはクライマックスシリーズでの戦いも控えるのだ。ここは踏ん張って3戦目を取り、勝負強さを感じさせるときではないか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)