オフも阪神が元気だ。先日、秋季キャンプを終えた指揮官・藤川球児は「私たちは休みます」とジョーク交じりに話していたが、なんの、フロントとともにチーム再生というか補強に動いているようだ。

「おっ」と思わせたのは遊撃手として助っ人を獲得する方向になったことか。カム・デバニー。球団はまだ発表していないが、この時点で早々と外国人選手の名前が出た。三塁、外野も守るが3Aでは遊撃手がメインだったという。

遊撃というところがミソである。「守備の要」といわれるそのポジション、今季の阪神はそこが流動的だった。小幡竜平、木浪聖也、熊谷敬宥、そして高寺望夢が守ったが最多出場の小幡で73試合だった。

「遊撃手だけが重要ということじゃないでしょう。どのポジションだって大事ですよ」。シーズン中の雑談で球児はそんなことを言っていたが、来季はそこに助っ人も加わり、さらに“混戦”になるか。

裏を返せばレギュラーとして君臨できる存在がいないとも言える。ある球団関係者は「守備範囲が広く、一番うまいのは小幡。肩の強さなら木浪でしょう。比較すれば打力もある。ユーテリティー、使いやすさなら熊谷」と話し、その難しさを説明していた。

遊撃だけではない。すでにトレードで捕手の伏見寅威、西武戦力外の元山飛優を獲得。ドラフトでは創価大・立石正広を1位指名した。今後の現役ドラフトも注目される。チームを変えようという球児の言葉は本気のようだ。

もちろん選手は大変だ。報道陣の前では言わないが「また競争相手が増えるのか」というのが本音かもしれない。想像すれば分かることだ。大変である。だがチームにとっては、やはり、大事なことなのだ。

「現状維持は後退や。強くあり続けるには常に変えていかないとあかん」。闘将・星野仙一が言っていた。星野の言葉を借りなくてもこの世界の常識でもある。「いいな」と思うのは、それを率先しているように見えるのがセ・リーグ圧倒の阪神ということだ。

名前は出さないけれど最近、連絡を取った複数の選手は、みんな一様に「来年やるだけですよ」と前向きな言葉を発していた。いいことだ。よければ年俸アップ、ダメなら最悪、自由契約。そんなシビアな世界で生き、活躍するにはその覚悟を持つしかない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

日本ハム伏見寅威(2025年2月22日撮影)
日本ハム伏見寅威(2025年2月22日撮影)