開幕先頭ヒットで勝つ! 第87回選抜高校野球(21日開幕、甲子園)に出場する八戸学院光星(青森)は15日、県和歌山商と練習試合2試合を行い、いずれも勝利した。先頭打者の新井勝寛外野手(3年)は2試合で二塁打3本、三塁打1本、9打数5安打と大暴れ。九州学院との開幕戦でも先頭で流れを引き寄せると宣言した。

 光星の切り込み隊長、新井のバットが火を噴いた。第1試合3回裏2死二塁、左翼のネットに直撃する強烈な打球で二塁打とすると、次の打席では中越えの三塁打。これだけでは終わらない。2試合目の初回先頭でも初球を左前に運び、さらに二塁打2本。計9打数5安打1打点、四死球で3度出塁するなど、1番打者として十二分の働きをみせた。「(相手は)1打席1打席配球を変えていたけど、対応できた。狙った球を打てた」と満足げに振り返った。

 ユニホーム越しでも分かる、強靱(きょうじん)な筋肉の持ち主。1番打者ながら、昨秋チーム最多の7本塁打をマークする長距離バッターだ。仲井宗基監督(44)は、そんな新井が今大会の「カギを握っている」と話す。「1番打者として相手にしっかりプレッシャーをかけて欲しい」。4番の経験もある新井に、あえて1番で打たせることで打線を活気づかせる狙いがある。

 口火を切るのは新井の得意技。昨秋東北大会初戦の山形城北戦では、1回裏の先頭で先制アーチをかけた。この日も先頭で4度安打を放った。6日後に待つ甲子園開幕戦でも最初に仕掛けるつもりだ。「初回から何かして、勢いづけられればいいかな」。自分のヒットで、満員の聖地を一気に「光星ムード」にするつもりだ。

 一家の思いも背中に背負う。祖父勝利さんから「勝」の文字を授かった、叔父、いとこ、兄の一族4人が過去に甲子園に出場したが、優勝には届かなかった。昨年春、夏と2番中堅で出場した兄勝貴からは背番号「8」をそのまま受けついだ。出場が決まると「がんばってくれ」と励まされた。「目標は優勝」。一家の悲願のためにも、開幕戦をバットで沸かせる。【高場泉穂】

 ◆新井勝寛(あらい・かつひろ)1997年(平9)6月12日、神戸市生まれ。蓮池小1年から東須磨少年野球部で野球を始め、西代中では神戸西シニアに所属。八戸学院光星では2年秋からベンチ入りし、レギュラー。173センチ、75キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄。血液型B。