プロ注目の九州国際大付(福岡)4番、山本武白志(むさし)三塁手(3年)が、3ランを含む4打数3安打4打点の活躍で勝利に貢献した。巨人で4番も務めた元ロッテ監督の父功児氏(63)のDNAを引き継いだ豪快な暴れぶり。昨年8月に就任した元西武捕手で、引退後は西武、楽天でスカウトなどを務めた楠城徹監督(64)の指導で増したパワーを武器に、2年連続の甲子園出場を狙う。

 高校球界の「剣豪ムサシ」が、夏初戦から“一刀両断”の活躍を見せた。ソフトバンク、巨人、阪神などプロ7球団のスカウトが熱視線を注ぐ中、山本があいさつ代わりの1発だ。1回1死一、二塁。カウント3-1から直球を強振すると打球は左越えに大きな放物線を描いた。春の九州大会で放った場外本塁打の「130メートルより飛んでいた」という手応えありの1発。「打球を見た瞬間、“よし”と思った」。筑豊の左翼手が1歩も動かない、高校通算21本目の完璧な当たりに、観衆も度肝を抜かれた。

 現役時代は187センチの大型野手、左打者として巨人で4番も務めた元ロッテ監督の功児氏を父に持つ。そのDNAを継ぐ188センチ、89キロの長男武白志もまた存在感たっぷりだ。観戦する父の前で「チャンスで回ったら全部かえす気持ちでいる」との意気込みで4打数3安打4打点の大暴れ。日本ハム原田スカウトも「将来性のある長距離砲。中田翔ばりのパワーを秘めている」と感心した。

 楠城監督の就任でさらに飛躍した。スポーツジムで行う自主トレに加え、同監督が招いたトレーナーの体幹トレなどで鍛えられ、導入されたスポーツサプリメント摂取で体重は5キロ増。肘の使い方や体の回転で打つ方法など的確なアドバイスも生き、昨秋以降に10本塁打を積み重ねた。春の九州大会で放った3試合連続本塁打が成長の証しだった。

 武白志の名には、清い心で武士のように育って欲しいという親の願いがあり、「白」には白星の意味も込められているという。勝利を積み重ね、必ず2年連続甲子園出場を果たしてみせる。【菊川光一】

 ◆山本武白志(やまもと・むさし)1998年(平10)2月17日、横浜市生まれ。野球は小3で始め中学時は、地元の都筑ジャイアンツボーイズ(現都筑中央ボーイズ)所属。九州国際大付に進み1年秋から三塁手でレギュラー。昨秋から4番。右投げ右打ち。50メートル走6秒4。188センチ、89キロ。家族は両親。血液型A。