神奈川の開幕カードは百合丘が、巨人高見昌宏1軍マネジャー(47)の長男、遼太郎捕手(3年)の活躍で7回コールド発進した。「今日は父の誕生日だから『絶対勝ってくる』と言ってきました」と、朗らかに言った。4番捕手は、攻守で有言実行した。

 2回、先頭打者として四球を選び出塁すると、2死二塁の場面で丸山亮也内野手(2年)が中前適時打を放ち、先制ホームを踏んだ。3回には、レフト線を破る二塁打。5回の第3打席も先頭打者で高めの直球を左前に放ち、得点の起点となった。守備でも2年生エース山口潤投手を巧みにリード。4回2死満塁とピンチもあったが、父譲りの「積極的なリード」で無失点に導いた。

 「キャッチャーがかっこいい」。小学4年から、父と同じく捕手の道へ迷わず進んだ。小学生の頃から、自宅から近いジャイアンツ球場に遊びにいく機会もあった。プロの練習に接することで、野球への熱意と野球勘は自然と培われた。自宅には巨人阿部や坂本らのサイン色紙を飾り、モチベーションを上げた。この冬には「打てるキャッチャーになる」と目標を掲げ、打撃を磨き、自信を付けた。

 守備でも、ボールの持ち替えにこだわり、二塁送球タイムが1秒91まで上がり、攻守でチームの要となった。小池健一監督(45)も「ここ6年間見てきた中で一番感覚が優れている」と信頼を置く。次戦は14日に第1シードの相模原と対戦する。「同じ公立校としてチャレンジしていく」。最後の夏、高見の勝負勘が勝利を呼び寄せる。【青木沙耶香】