関大北陽が記録ずくめの圧勝で、大阪大会の開幕戦を制した。松井尚史捕手(3年)の先制弾、中元啓貴(ひろき)外野手(同)の6回サヨナラコールドを決める2ランと、京セラドーム大阪の開幕戦では史上初の2本のサク越えを記録。守っても参考記録ながら完全リレーを達成した。

 記録的圧勝から、関大北陽が発進した。2回、4番・松井の先制弾が幕開けのアーチ。8-0の6回、3番・中元が右中間スタンドにたたき込んだ2ランが歴史をつくる一撃になった。

 98年から京セラドーム大阪を大会開幕日の会場に使い始め、1試合2本のサク越え弾は史上初。昨年8月に新納弘治前監督(53)からチームを受け継いだ辻本忠監督(38)は「1年目から開幕試合が出来るだけでも幸運なのに。選手たちに感謝します。格別な1勝になりました」と夏初勝利をかみしめた。

 6月16日から21日にかけて、部恒例の強化合宿を行った。トレーニングルームに布団を並べ、寝食をともにした5泊6日。体力、技術の強化に加え、夏の大阪に向けて心を1つにする。エース嘉勢敏弘(阪神打撃投手)を擁して94年春夏甲子園に出場したチームの4番だった辻本監督は「合宿で、夏への気持ちを作ってきたんです」と振り返る。

 松井は「1球に執着する、1球で仕留める集中力を合宿で身につけました」と明かした。京セラドーム大阪は、大好きな阪神の応援に子供のころから通った場所。その球場で高校通算20号の先制アーチをかけた。“サヨナラ2ラン”の中元も「しんどいメニューですが、気持ちを鍛えられました」。バーベキューの肉をみんなでつついた夕食も、大事な思い出だ。

 「私学7強」と呼ばれた北陽時代から野球王国・大阪を支えてきた。16年ぶりの代表へ。大阪桐蔭、履正社2強に待ったをかける夏にする。【堀まどか】