今年は「140キロトリオ」で最激戦区を連覇する。全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)神奈川大会で、東海大相模が6回コールドで足柄を破った。昨夏決勝で大会タイ記録の20三振を奪った最速151キロ右腕・吉田凌投手(3年)の後を受け、救援した2年生右腕の北村朋也投手が自己最速を2キロ更新する145キロを出し、2回を無安打無失点、3三振を奪い、0封リレーで好発進した。

 「神奈川のドクターK」こと吉田の後を受けた東海大相模・北村に、観衆の目がくぎ付けになった。182センチから投げ下ろす直球に、足柄打線はバットに当てるのがやっと。8番の左打者を落差のあるフォークで空振り三振に仕留めるなど3奪三振。2回を完全救援で夏デビューを飾り「準決勝や決勝で使う大きな球場を経験できて良かった」と、端正なマスクをほころばせた。

 大会前まで最速143キロだった直球は2キロアップした。「冬の走り込みとウエートトレーニングで足の筋肉が強くなって、下半身を使って投げられるようになりました」。ユニホームのズボンもOからXOにサイズアップ。同じ右腕の吉田とは寮の部屋が同じで、宝刀スライダーの握りを教えてもらっても「すごすぎてよく分からない」と苦笑いしながら、これ以上ない刺激になっている。

 昨夏はエース青島凌也(18=東海大)、192センチ右腕の佐藤雄偉知(18=ホンダ鈴鹿)と、今夏は背番号「1」を背負う左腕の小笠原慎之介(3年)と吉田の4人で「140キロカルテット」を形成し、甲子園に出場した。今年も北村の成長で「トリオ」が完成した。1年生で唯一ベンチ入りし、最速138キロの左腕・安里(あさと)海投手も控える。

 先発した吉田はDeNAスカウトのスピードガンで最速137キロ止まり。極度の緊張から球が抜け、バックネットを飛び越える大暴投もあったが、4回を2安打2奪三振で無失点に抑えた。門馬敬治監督(45)は「吉田はまだまだ良くなる。北村は春から伸びてきた」と冷静だが、他校がうらやむ投手王国は健在だ。【和田美保】

 ◆北村朋也(きたむら・ともや)1998年(平10)7月31日、栃木・足利市生まれ。小1から野球を始め投手。愛宕台中では佐野ボーイズに所属。「激戦区で勝負したい」と東海大相模に入学。1年秋からベンチ入り。持ち球は直球とカーブ、スライダー、フォーク。家族は両親と兄2人。182センチ、76キロ。右投げ右打ち。