三本木が黒石商を破り、35年ぶりのベスト4進出を果たした。6回、打者12人の猛攻で一挙5点を挙げた。左腕エース大塚朔(3年)が9安打4失点の粘投。バックは無失策でもり立てた。

 三本木が見事な集中攻撃をみせた。3-3で迎えた6回裏、9番佐々木庸介(3年)の中前適時打でついに勝ち越し。さらに4番若沢建郎(3年)の2点二塁打など、5安打1四球1敵失で5点を挙げ、試合をほぼ決めた。9回最後の守りを大塚が3人で仕留めゲームセット。ナインが歓声を上げ、駆け寄った。

 殊勲のラストバッター佐々木は「春以降、全然打てなかった。大会前、バットを肩に担ぐような低い構えに変えたら打てるようになった」とにっこり。毎日メジャーリーグの動画を見て参考にしたという。根城亮輔監督(40)は「タイムリーは打ったし、1番にいいかたちでつないでくれた」と喜んだ。

 大塚は初回いきなり2点を奪われたが、尻上がりに調子を上げた。2年生捕手の桜田陽太が「コースはいいけど球がちょっと来ていない。粘って、落ち着いて行きましょう」と上級生に遠慮のないアドバイス。大塚は「それがよかった。仲間が絶対点を取ってくれると信じて投げた」という。

 三本木は進学校で勉強も大変。また週1回の校内清掃や、冬には近所の民家の雪かきなどボランティア活動、あいさつ運動にも力を入れている。根城監督は「ナインはどれも手を抜かないでやっている。野球の神様がその成果を、試合で苦しい時に出させてくれる」とナインを信頼する。

 ベスト4に公立校3校進出の今大会。その一角の三本木は1戦1戦、無欲の勝利を積み重ねて、ついに4強進出まで来た。35年前は準決勝で敗退したが、新たな歴史をつくる時が来た。【北村宏平】