鶴岡東(山形)の左腕エース福谷優弥(3年)が打撃でチームを引っ張った。「ボールが見えていた」と2回表の最初の打席で左前打。5、7回にもそれぞれタイムリーを打つなど公式戦初の4安打をマークした。「もうちょっといいピッチングがしたかった。今日(良かったの)はバッティングの方です」と、4安打2打点にも恥ずかしそうに笑った。

 投げては、終盤追い上げられたが6失点完投に抑えた。右足を上げると同時にグラブの右手を左耳横に引き寄せ、左手を左太ももに隠す。出どころの見えにくい「フラミンゴ投法」で6回まで6安打3失点。7回に足首に打球が当たるアクシデントがあったが、「ここで代わったらエースじゃない」と佐藤俊監督(44)に続投を志願した。

 「大阪では通用しない」と中学時代の先輩がいる鶴岡東へ越境入学。チームメートやOBら山形の人たちは温かく迎えてくれた。名物の芋煮の濃い味にも、雪にも慣れ、全然分からなかった山形弁も聞き取れるようになった。今では「そうだ」を表す「んだ」が自然と口をついて出る。「ここに来たのは自分たちの力だけじゃない。その人たちのためにも、もっといい試合をしたい」。甲子園初勝利だけでは満足していない。【高場泉穂】