第88回選抜高校野球大会(3月20日から12日間、甲子園)に出場する32校の選考会が29日、大阪市内で開かれた。

 大阪桐蔭は、最速150キロ左腕の高山優希(2年)が大黒柱。12年のエース藤浪晋太郎(阪神)が甲子園春夏連覇からドラフト1位に上り詰めたように「人生を変える大会にする」と西谷浩一監督(46)と約束。「藤浪ロード」を歩き始める。

 人生を変える春にする。高山が西谷監督とかわした男の約束だ。「人生を変える。その気持ちで力を出し切ってほしい」と期待する監督に、高山も「大阪桐蔭の1番を背負う責任がある。信頼を得られる投球をします」と堂々と応じた。

 監督とエースの間で、4年前の会話が再現された。卒業後の進路に関する年末の面談。高山は「プロに行きたいです」と伝えた。監督は「それなら次のセンバツは、人生がかかる大会になるぞ」と答えた。そして「藤浪にも同じ話をしたよ」と付け加えた。

 高校2年の藤浪は夏は大阪決勝で、秋は近畿大会準々決勝で逆転負け。切符が届けば、勝ちきれない自分を変えてみせる。その一心で春を待ち、出場がかなった大会は初戦で花巻東・大谷翔平(日本ハム)に投げ勝ち、救援の準々決勝・浦和学院戦は無死満塁で3者連続奪三振。マウンドでほえた藤浪に、高山は心を奪われた。「大舞台で堂々と投げておられた。藤浪さんはぼくの理想」と言う。

 高山の運命も、変わり始めた。明治神宮大会準決勝で自己最速150キロをマーク。フィリピン人の母を持つ左腕は、花巻東・菊池雄星(西武)が記録した左腕のセンバツ史上最速152キロの更新の期待も背負う。「投打ですごい東邦の藤嶋君と投げ合えたら」とひそかな楽しみもある。

 年明け、西谷監督に藤浪が差し入れた「ベビースターラーメン」を高山はチームメートとこっそり食べた。600袋の差し入れは3分の1に減った。おわびは大舞台の力投で。頂点を目指し「藤浪ロード」を歩き始める。【堀まどか】