相馬が福島との伝統校対決を5-4で制し、02年以来14年ぶりに16強へ進出した。1-4の7回から登板した2年生左腕の岩崎晃汰が3回1安打無失点に抑え、4-4の8回1死満塁から相手投手の暴投で勝ち越した。県内最古といわれる伝統の校歌をえび反りで絶叫する「全力校歌」を春の県大会から復活させ、今夏3勝目を挙げた。

 伝統校決戦を制した相馬ナインは整列すると、グラブを足元に置き、両手を後ろに回してえび反りを始めた。1908年につくられたといわれ、「<歌詞>馬陵の城の 名に負える」で始まる県内最古の校歌を球場中に響かせた。主将の青田泰治外野手(3年)は「これが僕たちのスタイル」と胸を張った。今夏3度目の絶叫が心地よかった。

 「全力校歌」を復活させてから快進撃が始まった。学校内で「ただ騒いでいるだけ」などの声が上がったため、昨秋に一時封印して普通に歌ってみたが「しっくりこなかった」(青田)。今春の県大会から復活させた途端、2勝を挙げた。青田は「全力校歌は相馬の伝統だし、それを待っている人もいる。自分たちで話し合って復活を決めました」と明かした。

 入学直後の4月に新入生向けの校歌指導で、男女が肩を組んでえび反る「全力校歌」が伝授される。昔は楽譜がなく、ただ絶叫するだけだったが、岩崎が入学した世代からリズムに合わせながら絶叫する形に進化した。青田は「最初は合わなかったけど、練習後に校歌の練習をしてきたので今はバッチリです」と語る。

 相双地区の伝統校でありながら、57年の準優勝が最高成績で、いまだ甲子園出場は果たせていない。好リリーフを見せた岩崎は「この歌い方は珍しいと思うけど、これが自分にとって普通。力をもらえる」と意気込んだ。夢の聖地に向けて「えび反り軍団」が、あと4回絶叫する。【高橋洋平】