京都大会で福知山成美が、センバツ4強の龍谷大平安に競り勝ち、8強に進出した。笹原大虎(だいご)内野手(3年)が決勝弾を含む全3打点の大暴れ。3年ぶり5回目の甲子園へ勢いづいた。

 逃さなかった。2-2の8回裏。笹原は獲物を狙う虎のように仕留めた。2球目、内角高めに抜けたスライダー。思い切り振り抜くと、打球は夏空に放物線を描き右翼席に飛び込んだ。左腕市岡がマウンドで肩を落とし、球場が騒然とする中、ベースを1周した。「相手はセンバツでも投げたすごくいい投手。まさか打てるとは思わなかった」。びっくりの勝ち越しソロで龍谷大平安を打ち破った。

 チームの3点はすべて笹原のバットから生まれた。1点を追う2回2死満塁では、同点とする右前適時打。直後の3回に勝ち越しされたものの、再び笹原が奮起した。5回無死三塁、左犠飛で同点。そして8回に8強進出弾を放った。

 「大虎」という名前は、阪神ファンの母久美さん(47)がとら年生まれのわが子に「大きな虎のように強くたくましい子になってほしい」との願いを込めて命名した。名前の通りに成長し、昨秋の府大会で負けた強敵に借りを返す原動力となった。

 冬には野手全員で週に2、3回ジムに通って体を鍛えた。「パワーがついて冬明けから打球が伸びるようになった」と笹原。チーム事情で任された1番でけん引役になっている。井本自宣(さだよし)監督(42)は「組み合わせが決まってから左投手の練習をしてきた。これまでの2試合とも左投手。実戦での経験が大きい」と、成長していくチームに満足げだった。

 虎の本拠地、甲子園が見えてきた。笹原は「これからも厳しい戦いが続くと思うけど、今日の試合を自信にして思い切りバットを振っていきたい」。虎視眈々(たんたん)と3年ぶりの頂点を狙う。【中島万季】

 ◆笹原大虎(ささはら・だいご)1998年(平10)5月18日、大阪市生まれ。小学1年で「清水丘シャークス」で野球を始め、外野手、捕手、投手を経験。墨江丘中学では「住吉大和川シニア」に所属し、内野手。高校では2年秋から遊撃手でレギュラー。50メートル走6秒0。遠投90メートル。好きな選手はオリックス吉田正尚。家族は母と姉。174センチ、73キロ。右投げ左打ち。