北海が7-2で札幌日大を下し、2年連続、夏は全国最多となる37度目の甲子園切符をつかんだ。エース大西健斗(3年)が4戦連続完投。3番佐藤佑樹三塁手(3年)が先制犠飛に追加点の適時打と、夏に向けて故障から復帰した甲子園経験者2人が投打で引っ張った。北海の連覇は1970~71年以来、45年ぶり。昨秋、札幌地区予選初戦敗退から始まったチームが、22年ぶりの甲子園勝利を目指して聖地へ乗り込む。

 マスクをかぶってわずか5カ月の北海2年生捕手、佐藤大が先輩エースを救った。1-0の6回2死一、二塁、中前適時打で点をもぎ取った。「大西さんに1点をあげたくて」。2月、三塁手から捕手転向を言われた。「驚いた。でもレギュラーを取れるならとやってみました」。そして夏、エースを支えるパートナーとして成長し、南北海道の頂点に立った。

 中学3年の夏、人生が変わった。兄龍世(現富士大)がいる北海が、札幌地区予選で敗退したことをネット速報で知った。元々は野球のほかに冬はスピードスケートの長距離に打ち込み、全国大会出場歴もある。平昌五輪を目指し、釧路市内の高校への進学も決まっていた。「兄が負けたことを知った瞬間、一瞬で気持ちが変わった。北海で野球をやって、甲子園へ行こうって」。周囲を驚かせながらも、野球を選んだ。

 昨夏の甲子園はスタンドで応援した。「大型選手がそろった先輩たちが敗れてしまった。全国の壁を感じた」。お盆と冬の休みには、カキ漁を営む厚岸町の実家で運搬などを手伝う。体力強化にもつながった。今夏は自身の力で勝ち取った甲子園切符。「全国で北海の野球を見せられるように、また練習です」。兄、先輩たちの思いを胸に、聖地へ乗り込む。【黒河祐介】