作新学院(栃木)今井達也投手(3年)が、球場表示で今大会最速の151キロを出して完封した。5安打13奪三振で尽誠学園(香川)を破り、今大会完封一番乗り。
球速表示「150キロ」。スタンドからわき起こった拍手に、今井は白い歯をのぞかせた。2回1死一、三塁。狙って奪った1つ目の空振り三振で「1つの目標」と言った大台に乗せた。次打者への投球でさらに観衆がどよめいた。2球連続「151キロ」。自己最速を2キロ更新する連続三振で、4万4000人の目をくぎ付けにした。
カーブと約40キロ差の緩急で被安打は5。手元で浮き上がる直球に、尽誠学園打線は空を切り続けた。今大会最速に今大会初完封。「実力以上のものが出た。1人1人との勝負を楽しめました」。履正社(大阪)寺島成輝、横浜(神奈川)藤平尚真、花咲徳栄(埼玉)高橋昂也(いずれも3年)が「高校BIG3」投手として注目される大会で、プロスカウトの評価も赤丸急上昇。ドラフト1位候補との声が上がった。
勇姿を見てほしかった。野球が大好きだった父方の祖父、敏夫さん(享年79)が4月に他界。小学生時から試合を応援に来てくれ、肺がんを患ってからの5年間もそれは続いた。栃木大会の決勝後、墓参りで報告した。「甲子園に行ってくるよ」。
アルプススタンドには祖父の遺影が置かれた。「常に近くにいてほしくて」と遺骨の入ったお守りを身につけた。『投手の原点は外角低めだ。2ストライクでそこに投げれば打たれない』。9回2死一塁。最後は幼いころ祖父に習った通り、外いっぱいのストレートで13個目の三振を奪った。
昨夏は栃木大会登板も、甲子園でメンバー漏れ。課題だった体力と制球力を磨き「去年の悔しさを今日返せたかな」。リオ五輪ではOBの競泳、萩野公介が金銀銅メダルと3つのメダルを獲得。先輩に負けじと、金メダル級の“衝撃”を今井が残した。【鎌田良美】
◆今井達也(いまい・たつや)1998年(平10)5月9日生まれ、栃木・鹿沼市出身。投手一筋で、小1から北光スポーツ、鹿沼西中では鹿沼ポニーに所属。中3時に全国大会出場。作新学院では2年夏にベンチ入りも、甲子園では登録漏れ。球種はカーブ、スライダー、チェンジアップ。遠投100メートル、50メートル走6秒2。家族は両親、兄、弟、祖父母。180センチ、72キロ。右投げ右打ち。

