仙台育英(宮城3位)の5番杉山拓海外野手(3年)が、テレビアニメ「アンパンマン」さながらのヒーローになった。

 3連打で2点差と迫った9回1死一、三塁から、左翼席へ逆転サヨナラ3ラン。「打った瞬間、入ったと思った」。公式戦初本塁打が、チームの東北大会秋春連覇へ王手をかける一撃になった。東北(宮城1位)に5回まで5-1の劣勢から最終回にひっくり返したことに、佐々木順一朗監督(57)は「久しぶりに試合をしながら感動した」と興奮気味に話した。

 仙台育英は春夏合わせて37回、東北は同41回の甲子園出場を誇る、宮城の名門対決。昨春の東北大会準決勝も同じ組み合わせだった。1年前、6-7で敗れた雪辱を果たした杉山は「今年は違うぞ、というところを見せたかった」と胸を張った。

 杉山の父賢人氏(48=台湾ラミゴコーチ)は、かつて西武などでプレーした左腕で、93年にはパ・リーグ新人王に輝いた。丸顔から「アンパンマン」と呼ばれて親しまれた。

 2安打2打点と復調した前日10日の準々決勝後に、久々にLINEで連絡を取った。その翌日に劇的な1発。「今日は褒められると思う」。ヒーローの顔が、父の代名詞「アンパンマン」のよう、やさしくなった。