一方、能代松陽には今春1年生15人が入部し、うち1人が今夏ベンチ入り。二ツ井の要請に快諾した工藤明監督(41)は「将来主力になる力はあるので、いい経験になると思う。二ツ井の力になってほしい」と3人を送り出す。

 本来、外野手で捕手経験もある7番五代儀は「記念になる。二ツ井の先輩たちの役に立ちたい」。中堅手で50メートル走6秒4の8番高坂は「同じ中学の先輩がいるので話しやすい。松陽が一番強いと思うけど、1試合でも多く試合がしたい」と母校とのマッチアップに意欲。右翼手で投手兼任の9番清水も「夏の大会に1年生から出られる。コントロールに自信があるので、チャンスがあれば投げたい」と闘志を燃やした。

 二ツ井の夏の県予選通算成績は昨夏まで15勝41敗(連合1回)だが、80年と83年に2度の8強がある。両校間は約20キロの距離。学校の枠を越えた球児たちが、心の距離を縮めて白球を追いかける。【佐々木雄高】

 ◆単独廃校ルール 部員不足の高校が近隣校から選手を借りて大会に参加できる特別措置。00年から導入された。出場可能な自校部員が5人以上9人未満の場合、計10人になるまで補充できる。12年には部員8人以下の2校以上が組んで参加できる連合チーム制度も大幅に緩和された。