“滝二のイチロー”が8強進出を導いた。50メートル5秒9の俊足を持つプロ注目の内野手、滝川二(兵庫)の高松渡(わたる)内野手(3年)が、2安打1打点。打って走れるその姿は、イチローさながらだ。初回、1死二塁の好機で、「引っかかったかな」と振り抜いた当たりは右前へ。先制適時打を生み、チームを活気づけた。

 大きな武器は快足だ。すらっと長い足で、一塁到達まで3・7~3・8秒台。昨年3月にマーリンズ・イチロー外野手が3秒90を記録したが、常時上回る早さを誇る。この日は自己最速の3・5秒台をマーク。もはやメジャー級の足の持ち主だ。盗塁に関しては山本真史監督(58)も「ノーサインです」と信頼。快速のこつは「バットを振ったらその勢いで走りだします。前体重になっているかも」。加速方法もイチローばりだ。

 だが、普段は「あまりしゃべらない、ごく普通の高校生」と山本監督。それが、塁に出るとおとなしい性格は一変。「次の塁へ」と果敢に盗塁を狙う。この日は足の見せ場はなかったが、プロ5球団が視察。中日中田スカウト部長は「強烈に速い。ここ何年かのプロ選手交えても断トツ。課題はあるが、代走ポジションなら今すぐ使える」と舌を巻いた。 姫路南とのシーソーゲームを制した高松は「目標はプロ。まずは甲子園」ときっぱり。2年ぶりの夏の頂点へ、自慢の快足で一気に駆け上がる。【望月千草】

 ◆高松渡 たかまつ・わたる。1999年(平11)、7月2日、加古川市出身。小1で野球を始め浜手ロイヤルズに所属し、遊撃手兼外野手。浜の宮中では軟式野球部に所属。滝川二では1年秋からベンチ入り。176センチ、65キロ。右投げ左打ち。