センバツ決勝の再現だ。明日29日に行われる大阪大会・準決勝で大阪桐蔭と履正社が対戦することが決まった。履正社は今秋ドラフト候補の安田尚憲内野手(3年)が今大会3発目となる高校通算62号を放つなど、大体大浪商に5回コールド勝ち。大阪桐蔭は初回に4失点するなど苦しい展開も、山田健太内野手(2年)の満塁弾を含む21安打15点で逆転勝ちした。熱戦がこの夏、再現される。

 これが王者の力だ。大阪桐蔭は劣勢にも、動じなかった。3点を勝ち越された直後の6回。連打で1点差とし、なおも無死満塁だった。山田は初球を振り抜いた。鋭い打球は左翼スタンドへ一直線。グランドスラムで豪快に試合を引っ繰り返した。逆転満弾に「すごくうれしかったです」と控えめな笑みを浮かべた。

 山田は序盤にも大きな一打を放っていた。初回に4点を奪われる苦しい展開にも、直後に4番山本ダンテ武蔵外野手(3年)と山田の適時打ですぐさま1点差に追いついた。

 そして、6回には山田の本塁打で流れをつかんだ。打線は8安打を集中し、この回8得点の猛攻。西谷浩一監督(47)は「今日はいいところで打ってくれて、クリーンアップの仕事をしてくれた」と苦しい試合での一振りをたたえた。

 準決勝の相手は履正社。センバツ決勝で倒した相手にも山田は「去年の秋に負けてるんで、その気持ちを忘れずに戦いたい」。昨秋の府大会準決勝で4-7で敗れた悔しさが先に出た。

 センバツでは履正社のエース竹田祐投手(3年)から4打数2安打だったが、それも「夏の大会は最後まで分からない」。心の底から笑うのは、頂点に立ったときだけだ。