53歳の誕生日を迎えた荒井監督に白星をプレゼントした。この日の朝、メンバーの思いを書き込んだ色紙をプレゼント。皆川は「日本一長い夏にしましょう」と決意表明した。日本一を達成した13年夏も、同監督の誕生日に樟南(鹿児島)に勝利。前日の雨天順延で巡ってきた運命的な1勝で、荒井監督を「これ以上のプレゼントはないです」と喜ばせた。試合後に飯島主将が代表し、宿舎でウイニングボールを手渡した。

 皆川は13年夏の優勝の立役者だった高橋光成(現西武)に憧れ、入学した。中学2年の野球少年はテレビの前で躍動する姿に感動。「躍動感、勢い」を参考に、投球フォームを作った。ただ1つ、球速だけは高校時代の高橋も届かなかった150キロ超えを目標に設定。巨人菅野のように、約3キロのサンドボールで指を強化し、冬の間に体重を7キロ増量した。

 兄の付き添いで、初めてグラウンドに立った4歳の頃から、ヒーローに憧れた。母経子さん(48)は「プロ野球のヒーローインタビューを見て、ああいうふうになりたいなぁって。ヒーローへの憧れがずっとあるんです」と回想した。この日、皆川はテレビのヒーローインタビューに選ばれた。「日本一が目標です」。甲子園でまた1つ、夢をかなえた。【久保賢吾】

 ◆皆川喬涼(みなかわ・きょうすけ)1999年(平11)10月4日生まれ、東京都出身。小1から美園小サンダースで野球を始める。館林四中では投手と野手。前橋育英入学後は内野手だったが、2年春から投手も兼任。2年夏、3年春と甲子園に出場した。178センチ、79キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、弟。